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町田版 公開:2016年1月21日 エリアトップへ

町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の9

公開:2016年1月21日

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バランス

 市内某公園の暖斜面の草地に逞しく生きているヒメハギとコケリンドウ(=写真)。背丈は1〜3cm。遠目に見渡せば芝とタンポポばかりで、目を凝らさなければ見つからない。この暖斜面には様々な桜や梅があり、その見頃に訪れる人たちにおそらく踏んづけられているかもしれないが、小さいからこそそれくらいじゃへこたれない。ややきつめの斜面だから、幼い子どもたちが走り回るには危険。頭上の桜や鮮やかな黄色のタンポポに気を取られて目立たない。絶妙な場所でひっそり生き続けている。

 かつてアメリカシロヒトリという北アメリカ原産の蛾が大発生した。バラ科の桜やリンゴ、その他多くの樹木の葉を幼虫が食い荒らした。農作物被害もさることながら、日本人は愛する桜の葉を食べて、木の周囲をおびただしい糞で汚されることが許せず、大掛かりな駆除に乗り出した。結局、その後の大発生がないのは天敵の虫や鳥によるものらしく、これもまた絶妙なバランスを人間以外の生き物が形成したということ。

かいぼりで出てきたものは

 最近のニュースにしばしば取り上げられている「かいぼり」。池に堆積した泥の排除が目的だが、特に都市部では目的が変わってきている。本来生息していなかった外来生物の駆除と不法投棄物の回収だ。市内薬師池でも最近行われたが、例に漏れず特に多いのがアカミミガメ。その他にはブルーギル、アオウオ、ソウギョなども。オオクチバス(ブラックバス)がいなかったのは良かった。アマゾンのミドリガメとして輸入されたアカミミガメは、ペットショップやお祭の夜店で定番となっていたが、正式にはアメリカ原産でアマゾンではない。成長すると在来のツチガメと同じくらいになり、餌獲りも素早く繁殖力も旺盛。のんびり暮らしていたツチガメは減少。飼えないし殺せないという理由で身近な池に放したのは人間。

ブラックバスは食べましょう

 富士の河口湖の湖畔ではブラックバスの釣り人のため貸ボート屋が多い。でも湖畔で入漁券を販売している店に「ブラックバスは釣ったら食べましょう」という貼り紙を見た。理由はブラックバスが在来のワカサギなどを食べてしまうからだという。でも券を購入する人の大半はバスをキャッチアンドリリース(釣って放す)で楽しみに来ていると思われる。バス釣り客相手かワカサギ釣り客相手か、何者かが放流した外来魚の繁殖力は凄まじく、駆除するには湖は大きすぎて、湖畔の住人には最早為す術はないのだろうか。近年では冷水にも強いといわれるコクチバスを何者かが放ったらしく、流入する河川で生きる在来の小魚たちにも危機が迫っている。ちなみにブラックバスは皮さえ除いてしまえば臭みもなく淡白な白身で、ムニエルやフライにしたらとても美味しかった。

 アマミノクロウサギはハブの駆除目的で放ったマングースによって激減。ライチョウは保護指定したニホンザルによって激減し、その保護策は人間が監視して音を出したり大声を発して天敵を追い払う人海戦術。ニホンカモシカを保護指定したら増えすぎて里の畑などに被害が拡大。慌てて狩猟で一人当りが獲れる頭数を増やす。

しっぺ返しは人間に!?

 こんな負の連鎖はほとんど人間の仕業。いつまでこんなことを繰り返すのか。ほったらかしておけば生き物は絶妙な均衡を保つもの。人間が関わるとそのバランスが崩れてしまう。そして得てしてしっぺ返しが人間に戻ってくるのに、趣向のため、商売のため、人の業(ごう)は終わりが見えない。
 

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