「つまらない本に付き合うほど、ぼくらは暇ではないのだ。」――椎名誠、目黒孝二が1976年に創刊した「本の雑誌」。その全貌を紹介する「本の雑誌 厄よけ展 オモシロ本を求めて42年」が、町田市民文学館ことばらんど(原町田4の16の17)で6月25日(日)まで開催されている。
当時無名だった2人の活字への熱い思いから生まれた同誌。匿名座談会、ユニークな特集など独創的な切り口と、2号から表紙絵を担当する沢野ひとしをはじめ個性豊かな執筆陣が魅力となって人気を博した。
この企画展を担当した学芸員の神林由貴子さんは見どころを次のように話した。
『「本の雑誌 厄よけ展」では、40余年のエンターテインメント作品の系譜を振り返り、多彩な執筆陣を紹介することを通して、「本」を介在して人と人とがつながってゆく、という読書の新たな愉しみ方を提示しています。さらに、「本の雑誌」を創刊し、エッセイスト・作家として地位を確立していった椎名誠氏の、作家になる前のお宝資料、世界各地から持ち帰った旅のお土産など、ここでしか見られない貴重な資料を展示しますのでお見逃しなく』
観覧無料。観覧時間午前10時〜午後5時。月曜、5月11日(木)、6月25日(木)休館。【電話】042・739・3420。
「町田の町を歩こう」沢野ひとし
町田市に住んで四十五年になる。私はこの町を愛してやまない。自宅の近くに七国山があり、悲しい時に散歩に出る。大山や奥多摩の峰々を眺めているとしだいに元気が湧いてくる。
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町田ではいつも飲んだくれていた。ある夜馬肉の老舗柿島屋の裏道を酔って歩いていると「Lee外国語学院」の看板があった。次の日に尋ねてみると中国語を教えているという。酒ばかり飲んでいても人生はわびしいものだ。中国語を習うことにした。やがて中国が好きになり何度も旅に出るようになった。
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『本の雑誌 厄よけ展』が町田市民文学館ことばらんどで開催されるが、たくさんの絵が展示されている。山や中国大陸の絵もある。
高校以来の友人、椎名誠が作った『本の雑誌』なだけに、エネルギーが溢れている。会場を入ると、きっと生きる勇気と深い静寂が訪れることだろう。
人は誰れでも幸せになりたいのだ。
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