町田版 掲載号:2017年10月19日号
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宮司の徒然 其の32 町田天満宮 宮司 池田泉

「金と銀」

 まず金と銀とは何色なのかと考えてみると、光る黄色と光る白またはグレーではないだろうか。本当の金銀はメッキのそれより艶がなく光は鈍い。いわゆる鏡面仕上げを施された金銀の内、特に銀については鏡であって色ではない。

 日本だけでなく世界各国で金銀は珍重され、取引きされてきた。金は加工しやすく汚れがつきにくい。銀はスプーンなどになって毒を検知するのにも用いられた。金銀の存在は太古から様々な歴史を作ってきた。それが人間の遺伝子に固定観念として埋め込まれたのか、人は本物でなくとも金銀の色に惹かれる傾向がある。

 めでたい宴席や祝儀では、料理にかまぼこと卵焼きを並べて金銀に見立てる。有名な落語「長屋の花見」では、かまぼこと卵焼きは白い大根と黄色いたくあんになっているが、やはり金銀の見立ては日本人に大切なのだ。

 草木にも日本は金銀で命名しているものが多い。金ランに銀ラン、モクセイは金モクセイと銀モクセイ、白いまん丸の花をつけるネムは銀ネムなど…。どう見ても金銀ではなく黄色と白だが、そう呼ぶことでめでたさも増すというものだ。また海外でも、有名なシャンソンに「金色の麦の穂」がある。たわわに実をつけた麦畑は、陽に照らされて金色に見えたかもしれないし、大地の恵みに感謝する気持ちが金色の穂と呼ばせているのかもしれない。農産物、特に穀物を宝と考えるのはどの国も変わらないのだから。

 神話のヤマタノオロチのモデルは一面紅葉して赤くなっている奈良の三輪山だという説もある。「背が赤々と輝き燃えるような」と表現するのも、紅葉狩りに出かけた際のわれわれの感覚と違いはないように思う。「茶色と赤と黄色が混じりあって…」と表現するのはヤボだ。やはり「燃えるような紅葉」と言いたい。

 最近はクレヨンの色の表記も変わった。肌色はいつの間にかペールオレンジになっていた。日本のクレヨンを海外に出すのに都合が悪いのだろうが、われわれがなじんできた肌色という表記をせめて国内では残してもどうかと。観光産業が外国人に頼る国になりつつあるのだからやむを得ないのか、私の考えがもはや古いのか。
 

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