犬と人間の関わりは深い。犬は縄文時代から住居の見張りや狩猟の補佐などで家畜化してきたとみられ、現在ではペットや番犬だけでなく、盲導犬、介助犬、そり犬、闘犬、セラピー犬など、様々な形で犬と人間は関わりあっている。昨年町田市内でも活躍した「警備犬」も人間の生活に欠かせない存在だ。今年は戌年。このほど都内多摩地域某所の警備犬訓練所を取材した。
鋭い嗅覚で犯罪現場などの捜査を行う鑑識課の警察犬。一方で警備犬はサミットのテロ対策や、要人が泊まる迎賓館やホテルで爆発物を捜索し、また災害時には被災者の捜索や救助活動を行うなどその役割は多岐にわたる。同訓練所には数十頭の警備犬と、犬の数だけの訓練士が日々、その精神を鍛錬している。
ジャーマンシェパードのドルフ号(2歳)の「相棒」は、昨年まで町田に住んでいたという吉野崇文巡査長だ。”2人”は昨年9月、M7・1で300人以上の死者を出したメキシコ地震の災害救助に派遣された。現場では気配を見逃さないよう気を張り詰める。人の呼吸や皮膚呼吸までを察知するという嗅覚で、がれきの下から傷ついた犬を無事救助した時「ようやくホッとしました」と吉野巡査長。
同訓練所からはこれまでにも中越地震、東日本大震災などの被災地や、ネパール、ニュージーランド、中国の四川など海外にも派遣され、職務を全うした。
一生のパートナー
言葉が通じない相手に対し、気持ちを理解し合わないといけない。目や動作で”会話”をし、良し悪しのけじめを叩き込む。食事やトイレなど、規則正しい生活リズムを作り、守らせる。そこにはそのパートナーならではの絆が生まれてくる。吉野巡査長には現在、生まれたばかりの子どもがいるが、「犬も大事」とオフの日でも自主訓練に訪れている。別の訓練士が仕事をさせようとしてもその犬の能力は半減してしまうという。
「現場で最大限の力を発揮してもらえるように」と体調管理に気を配る。毛並や筋肉の張り具合など、わずかな変化も見逃さない。
訓練は、出動する日を想定し、来る日も来る日も反復する。そして成功すればきちんと褒める。「本来は我々の出動が必要ない方が良いのかもしれない。でも災害などで出動するからには『必ず見つけ出す』という気持ちで臨む」と力を込める。
訓練士はみな「警備犬はあくまでも”装備品”」と言う。コミュニケーションは密接に行うが「感情を込めすぎると、何かあった時に自分たちが壊れてしまう」と一線を引く。
警備犬は8歳で引退する。引退後も訓練所で余生を過ごす。「最期までここで面倒みます。一生のパートナーですから」
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