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宮司の徒然 其の37 町田天満宮 宮司 池田泉

掲載号:2018年2月8日号

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「イナゴ」

 日本の各地でイナゴは食べられてきた。イナゴだけではなく、有名どころでは蜂の子やザザムシがある。ザザムシは長野県の諏訪や伊那地方で加工品として売られている。里川でも清流であれば流れの中の石裏に小砂利を集めて巣を作っているトビケラの幼虫で、ウグイやヤマメ、イワナなどの釣り餌にもなる。私もそちらの方へ出掛けた折りには必ず買い求め「これが魚の好む味なのか〜」と想像しつつさかなにする。一方、イナゴは食べたことのある人、飽きるほど食べた人、今でも好きで食べている人も多い。関東でもイナゴの佃煮はそう珍しくない。国際連合食料農業機関FAOが昆虫食を推進しているのは、栄養価が高く、食糧難に有効な食材ということだからだろう。調べてみたところイナゴだけではなく、味や食感の違いはあれどもバッタ類はほとんど食べても大丈夫らしい。とは言うものの大きなショウリョウバッタは、口に刺さりそうで食べる気にはならないが。

 まれに大群を成して農作物などに大被害をもたらすのは飛蝗(ひこう)また蝗害と呼ばれるものは、あたかもイナゴの大群のように誤解されているが、ワタリバッタ、トビバッタ、アメリカイナゴといった種類で、日本にいるツチイナゴ(写真【1】)、ハネナガイナゴ(【2】)、コイナゴ(【3】)、ナキイナゴ(【4】)などとは別種だ。確かにイナゴは稲の葉を食害するが、貴重なたんぱく源として栄養価の高い食料としても利用されてきた。町田市内でも小野路の万松寺谷戸などでは、今もたくさんのイナゴがいる。コイナゴだけ獲れれば、足を取らなくても美味しくいただける。

 先日、福島のイナゴの佃煮をいただいた。実は福島では土や植物にいまだ放射能があるため、頻繁に食べてきた福島のイナゴ(主にコイナゴ)を獲って調理することができず、外部から入る加工品を買って食べているというが、少し大型のハネナガイナゴらしく、地元のイナゴより口当たりが良くないと少し寂しそうに言っていた。質素に営まれてきた人々の生活にも、依然東日本大震災の原発事故が影響している。考えてみれば、神社で6月と12月に斎行される茅の輪神事の材料になる稲わらも、役員さんの伝手で福島の農家からいただいていたが、震災後は乾いたわらでさえ福島から出せないことになってしまった。ましてや口に入るものであれば仕方がないのか。悲しいことだ。

 いっそのこと、放射能を無力化する何かを発明してくれないだろうか。いや、力を微量にしてしまうだけでもいい。生物に無害な放射能でもいい。人間が作ったのだからできないことはないのでは。ノーベル科学賞とノーベル物理学賞とノーベル平和賞を100個あげよう。何なら御祭神にしても構わない。
 

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