町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の42
お互いさま
梅雨が明ければ夏本番。花火、祭り、海水浴。虫の活動も最盛期へ。植物もいよいよ緑を深くする。
ヒアリの騒ぎはやや落ち着いたかのように感じるのは、メディアがネタとしてのインパクトを求めるが故にニュースや紙面に登場しなくなっただけで、実は専門家は地道な調査を継続している。ヒアリは南米から中国を経由して渡ってきた、いや人間によって渡らされた。寒い冬のある日本はヒアリにとって本意ではないと思うが、家電の裏で暖をとるゴキブリ同様にヒアリもたくましいかもしれない。タイなどにいる毒性は弱いものの噛まれると痛いアカカミアリは恐らく既に来日していると思われるが、やはり南方系だから爆発的繁殖はできていないようだ。植物にしても虫にしても渡った先の条件で、爆発的に増えるか細々と生きるか、または生きられないかが決まる。ブラックバスやミシシッピアカミミガメのように、観賞用、食用、飼育用として持ちこまれて野に放たれた生物や植物のなんと多いことか。
島国日本は侵入されてばかりだと思いがちだが、実はカエルの感染症カエルツボカビ症は日本やアジア諸国の在来菌で、狭い日本では長い年月でカエルたちに抗体ができたようだが、海外に渡ると抗体のないカエルを絶滅の危機にするほど深刻な被害をもたらしている。また、以前紹介した葛も外国に渡って伸び伸びと迷惑をかけているようだ。
最近、ヨーロッパではマメコガネが発見されて騒ぎになった。マメコガネは日本ならどこにでもいるコガネムシで、小柄で綺麗な色合いだ。我が庭でもバラの雄しべや花びらを食い荒らして少々困りものだが、爆発的に増えることもなく地味にいる虫といった感じだ。しかし気候条件や天敵の有無などにより、虫や草はさしたる繁殖も見られなかったり、爆発的な猛威をふるったり。人間同様、引っ越し先の土地に馴染めなかったり、すぐに馴染めたり。そう、マメコガネは日本生まれの害虫。40年ほど前にアメリカに渡り、大量繁殖して農作物に甚大な被害をもたらした。その名も「ジャパン・ビートル」。そして数年前、絶えるどころかヨーロッパに渡った。海外ではヒアリ同様に迷惑な存在。お互いさまだ。ミサイルよりはずっとましだ。
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宮司の徒然 其の137町田天満宮 宮司 池田泉12月21日 |
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宮司の徒然 其の135町田天満宮 宮司 池田泉11月30日 |