文化庁が今年6月に創立50周年を迎え、その記念表彰の被表彰者を決定した。過去50年を振り返り、文化の振興に多大な功績があった人物に対して、その功績を称えて表彰するもので、個人・団体160件の中に、町田市立博物館の田邉三郎助(さぶろうすけ)館長が選出された。なお9月30日に京都市で行われる予定だった式典は、台風のため中止となった。
田邉三郎助氏は1931年東京生まれ。東京大学大学院博士課程の後、文化庁文化財保護委員会美術工芸課、東京国立文化財研究所、国立歴史民俗博物館等を経て1987年、町田市立博物館の館長に就任。同時に武蔵野美術大学教授、2001年には名誉教授に。
永年にわたり、日本美術史の研究に携わり数々の業績を挙げ、とりわけ仮面研究の第一人者として学界をリードしてきた。仏像や能面に造詣が深い田邉氏。両親が京都出身であり、幼少期よりよく寺を見て回ったという。また母方の先祖に、江戸時代に活躍した清水隆慶という仏師がいるという。「文化庁に務めた後に知ったので、きっかけというわけではないけど」と振り返る。文化財保存修復学会でも会長も務めるなど、仏像の修理・修復にも携わってきた。「学問的な研究と行政的な面と両方で関わってきたので、そのへんで評価されたのかな」と今回の受彰について話す。
現在87歳。世田谷の自宅から週一回、博物館に通う。丘の上にある同館には「行きはタクシーに乗るけど、帰りは歩いて下の大通りまで出るよ」と元気だ。就任した当初は館蔵品も少なく、郷土資料ばかりで、客がリピーターにならない状況を憂えた。「人をもっと集めるにはどうしたらよいか」。館の特長を出そうと工芸品、とくに焼物・ガラス製品を収集した。それらは比較的保管がしやすく、また金額的にもそれほど高くないからだという。また積極的に寄贈を受けてきた。「現在はかなりコレクションとしてまとまってきている。今後も、館の特色として見せていけたら」と話す。
11月末には日本博物館協会の90周年式典があり、そこでも表彰される。
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