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町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の48

掲載号:2019年9月12日号

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鷺が羽を広げて飛んでいるように花が咲く鷺草
鷺が羽を広げて飛んでいるように花が咲く鷺草

サギ

 今年もわが家の植木鉢に白鷺が飛んだ。鷺草はメジャーな割に毎年咲かせるにはそれなりの面倒見が必要だ。花が終わり茎も枯れたらそのまま寝かせて、頃合いを見て地下茎の新たな球根を丁寧に取り出しつつ水苔を新しいものに替え、小豆より小さい球根を再び植え付けておく。水苔が乾燥しない程度にしておけば春にはまた芽吹いてくる。ただしスズメガ科の蛾などに花粉を広範囲で交配させてもらう必要があり、室内の人口受粉では遺伝子が濃くなってやがて絶えてしまう。

 鷺草は世田谷の区の花になっている。かつて鷺草が群生した広大な湿地があったためだが、もちろん現在世田谷区に自生している鷺草はないし、国内でも自生地は数か所に限られる。売っている鉢物が多い反面、実は絶滅危惧種なのだ。その主な原因が、いわゆるお土産採取による減少で、低地の湿地で人間の居住地に近いというのが災いしたことに他ならない。

 さて最近、鳥類の鷺は害鳥としてしばしば報じられている。白鷺という呼び名は白い鷺の総称で、水田や河原で見かけるのはダイサギ、チュウサギ、コサギの三種で、大中小で分けた安易な命名。それぞれに顔や尾に特徴があるが、遠目で見ると全部白鷺だ。ぽつんと1羽か2羽くらいで水田や水辺に佇んでいれば絵になるが、群れを成して住宅地の近くの林などで営巣すると、鳴き声はやかましく糞害もひどい。参拝で伺った京都の下賀茂神社(賀茂御祖神社)では本殿裏の神域林にもダイサギが群れていたが、ひとたび群れが飛び立つと異様な光景だったのを覚えている。これは鷺に限ったことではなく、セグロセキレイなども都会に馴染み、町田の小田急駅バスセンターの西友前にあったエンジュの木には、夕方になるとセグロセキレイの群れが寝床として木に集まり、朝になると真下の舗道はおびただしい糞が残る。原町田からバスセンター、森野方面まで伸びる2・2・4号線は街路樹としてエンジュが整然と並んでいるのに、なぜかセグロセキレイが毎晩集まったのはその1株だけで、いつしか伐採されてしまったのは手っ取り早い方法だっただろうが、他のエンジュに引っ越したらいったいどうしたのだろう。

 広域に目を向ければ、国を挙げて保護しているトキ。佐渡ではトキの餌となる水生生物やイナゴやバッタなどを守るため無農薬での農業を強いられる。佐渡でも少子高齢化は進んでいる。いくら助成金が下りていようとも、田畑に従事するのは高齢者。無農薬で米を作るのは労力も大変だ。しかもトキは田んぼでエサを食べ、稲の苗をつぶしたり掘り起こしたり、地元の農家では害鳥となっている。

 これは国鳥とされているタンチョウも同様らしい。しかも、トキもタンチョウも一度絶滅している。それを他国から借りたりして産卵させて、大変な努力をして復活させた。そして害鳥?種の保護と人間生活、バランスが難しい。とどのつまり、人間が手出しすることが自然のサイクルを傷つける不自然なのではないだろうか。減ると保護、増えると駆除。永遠に繰り返すのか。
 

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