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掲載号:2020年6月25日号

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ケツメイシ

 よく知るのは四人組のグループ名。ケツメイシと名付けたのはメンバーが薬科大にいて、薬学の本を適当に開いたページにあった「決明子(けつめいし)」にしたということだったらしい。決明子は中国の漢方薬で、ハブ草やエビスグサの種から作られる。どちらもマメ科植物特有の花と莢(さや)をつける。ある日、うちわのような丸い葉の草が庭に生えていた。おそらく鳥糞爆弾によって投下されたのだろう。ぐんぐん大きくなり、1メートルほどに成長し、1〜2センチの黄色い花をつけた。それはエビスグサだった。エビスと名付けられた要因として、中国から渡来した植物全般に付けられることが多いという説が有力だが、私の見立てだとぶら下がった長い莢の形が恵比須顔のひげに似ているからではないかとも思う。ハブ草の種から作るハブ茶はご存知と思うが、実はハブ草は稀少でたくさん収穫できないため、ハブ茶のほとんどはエビスグサの種から作られている。

 さて、マメ科植物の特徴として有名なのが早寝早起き。夕方になると葉を畳み、朝になると葉を開く。難しい言葉で「就眠運動」というらしい。他にネムノキやエンドウマメなどもそうだが、エビスグサの葉はかなり大きいのに、毎日夜眠るし朝目覚める。夜つゆが嫌いなのか、昼は開いているのに力が必要で夜は光合成できないから閉じて休んでいるのか、そんなふうに思っていた。しかし最近、その謎についていろいろな研究機関が解明を進めていて、なんと人間の体内時計同様に植物にも植物時計なるものがあると解ってきた。タンポポやフクジュソウの花もそうらしい。ならば、それらを突然地球の裏側に持っていったらどうなるのだろう。昼夜逆転するのか、または時差を感知するのか。誰かやってみてほしい。

 植物にさえ体内時計があって、自然の摂理に従って生きているのかと思うと、人間も同様に昼夜に従って暮らしていた時代があって、火の扱いを覚えて夜の行動ができるようになり、そのあたりから体内時計もずれ始めてきたのだろう。暗くなったら寝て、夜明けとともに起きれば、経済に影響は出てもエネルギーの無駄遣いは激減するのではないだろうか。地球のエネルギー資源が枯渇に向かっていることは誰しもが知っていながら、自分が生きているうちは大丈夫と考える。本当に枯渇の瀬戸際までいけば、体内時計も人類が誕生した頃に戻っていくのか。まさか、夜目が利く夜行性の獣に進化するのか。

 冬の朝、我が家の居候の野良猫が軒下に作ってあげた寝床から起きてくると、朝陽が当たる場所に移動して目を閉じてじっと体を温める。これが自然で、コーヒー飲みながらエアコンの効いた部屋でそれを見ている私は不自然なんだ。人間もいつか、他の動物たちと一緒に朝陽で体を温める日が来るのかもしれない。
 

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