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掲載号:2020年10月8日号

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百日紅(サルスベリ)

 コロナ禍の令和二年も盛夏、さらに酷暑。社殿裏の掃除中に一休みして滴る汗を拭いていると、まぶしい夏空からヒラヒラとぼたん雪のようなものが足元に舞い降りた。まさかね。そうそれは白い百日紅の花びら。見上げると強い日差しで輝きながら花が風に揺られていた。

 百日紅は元来文字通り「猿滑り」だった。若い幹の時にあったコルク状の厚い樹皮は、成長と共に剥がれ落ちて、猿が登っても滑りそうなつるつるの硬い樹皮に代わる(しかし猿は滑らずに登れるらしい)。花の時期が長いことから百日紅と呼んだのは中国で、その字にそのまま「さるすべり」と当てたから、どう見ても漢字と読みに共通点がないのは当然。植物の名前にはこのパターンがおびただしい。蒲公英(タンポポ)や向日葵(ヒマワリ)などもそうだ。そもそも花の時期が長いというのも遠目に眺めているからで、一つずつの花が咲いている時間はそう長くない。百日紅は桜のように一斉に咲くのではなく、次々に花が咲き、遅れた枝は先に咲いた長い枝の後に大量の蕾を抱えて控えているから、ずっと花が咲き続けている木のように見える。一つの花はか弱く見えるが、集まって咲くとまるでかき氷のような感じだ。子供じみた疑問だが、この心細いほど薄くて波打つ花びらは、どうしてこの猛暑の中で刺すような陽射しを浴びても乾かず日焼けせずにいられるのだろうか。

 人間は様々な植物に手を加え、数百年数千年という時間を経てたどり着いた形や色を変異させている。商品化という名のもとの改良であり、植物が目当ての虫を誘うため、また与えられた環境下で生きやすくするための進化の結果にはあまりに残酷な改悪だ。それだけいじくりまわして変異させてきたのだから、どなたかコロナウイルスも無害、いや欲張って体に有用なものに変異させていただけないものだろうか。多くの感染者や死者が出ているのに、「ただの風邪だから気にしなくていい」とマスクをしなかったり、選挙が迫ってきたら一転マスクをつけたり、小さなマスクを450億円余りの国費で作り、国民に配ってひんしゅくを買い、経済にかじを切って移動制限を解いて感染者を増やし、日米の親方は民意とのギャップに気が回らず四苦八苦。アリの行列は滑ることなく百日紅の輝くほどつるつるな幹を登っていくのに、あなた方は申し合わせたように命よりも経済優先にして滑り放題。ひと滑り、ふた滑り、ついでに首長の座からも滑りそう。ただし、こんな年に首長でいたことは不運極まりなく、心中お察し申し上げることもできないほどで、普通なら気が狂ってしまうかもしれない。日本のみならず世界各国の長にも申し上げたい。百日紅の蜜を求めて地道に登るアリンコの行列は、我々一般民衆の地道な経済活動の歩みに似ている。どうか妙な思い付きで幹を揺らさないでほしい。

 このコラムが掲載される暇もなく、我が国の首相は心労がたたって持病が再発し、幹のてっぺんから降りてしまった。まさにコロナの二次災害。病は気からといっても限界があるが、感染症は互いの思いやりである程度抑えられるのだから、マスク無しで手を取り笑い合える日を楽しみに、もう少し頑張ろう。
 

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