町田シバヒロのイベントで木版画のワークショップを行う 石橋 佑一郎さん 小山町在住 34歳
「だからこそ」の味を出す
○…カワセミのイラストを薄い和紙に刷り、たこにして空高く揚げる。中町のコミュニティースペースで木版画のワークショップをしてきた縁で、市のイベントに参画。普段は額装展示用の版画を作っているが、変わったことをやろうとたこにした。子どもにも簡単にできて、大人も楽しめる。なにより「屋外でのたこ揚げなら密になりようがないですし」。
○…銅板やリトグラフ、シルクスクリーンなどの種類がある中で、大掛かりな機材の必要がない木版画を選んだ。繊細じゃないからこそ表現に味が出る。「その不便さみたいなものが好きですね」。浮世絵が絵師、彫師、刷り師による分業で作られたように、版画は表現だけでなく作業が必要だという。生み出すことに没頭すると頭がパンクする。この、ただ彫る作業がちょうどいい息抜きになるという。
○…福岡で精神科医の父、薬剤師の母のもとに生まれる。幼い頃からモノ作りが好きで家の中で図鑑を読み込んだり、超細かい迷路を書いたりしていた。高校で美術部に入部、多摩美大への入学を機に上京した。写実的に「うまく」描くのを好んでいたが、大学に入り自分の内にあるものを表現し始めた。「自由にやりたくなっちゃって」。作品を見る人がいろいろな受け取り方ができるのが美術だ、と説く。卒業後、大学院を出て、助手や非常勤講師も務めた。
○…現在知人に借りて住んでいる一軒家の改築に夢中。天井を取り除いてボルダリング用の壁を作ったり、やるからには思い切り自由に。「もちろん許可を得ましたよ」と笑う。制作に行き詰った時、壁に上って汗をかく。「作品だけで食べていくにはまだ…」だが、同業の彼女との結婚も視野に入れ、作家としてのステップアップを図る。
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