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掲載号:2020年10月29日号

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連 鎖

 稲穂がこうべを垂れる神無月、隣接する林には半日陰の湿地を好むツリフネソウやキツリフネ、ミゾソバが揺れる。肌寒い秋風に吹かれながら眺めるほどに、あの長い梅雨と酷暑の記憶が薄れる。

 植物は危機を感じると花を咲かせると言われる種類がある。熱帯や温帯の多肉植物は、寒さはもちろんのこと干ばつが続いたりすると、花を咲かせて種を残そうとするかららしい。これは他の植物にも起こる現象で、地球環境の変化により去年今年と長梅雨と猛暑が続き、四季の寒暖差が穏やかでなくなっている。人間が寒暖差で体調を崩すように、植物も危機を感じていつもより花付きが早かったり多かったりする。思い返せば、去年あたりから明日葉やカラスウリの花数が異常に多いし、雑草の草刈りの回数が多くなっている。

 一方で、コロナウイルスの長期化によって経済が停滞し、自粛生活が長引き経済活動は困窮していくが、少しずつ温暖化が改善されていき、極地の氷も溶けなくなり、陸地の縮小を抑えられる。日本も四季の巡りが穏やかになり、豪雨災害も少なくなる。人の移動が制限されたことで大気がきれいになり、いよいよ植物にとってはチャンスとなり、生育が旺盛になれば山は豊かになり、保水力が増して水の浄化効率が上がり川はきれいになる。すると海もきれいになって魚介類が増えて漁獲量が上がり安価になる、のはずだが、決してコロナの長期化で地球が簡単に浄化されるとは思わないし、もらい事故のようにウイルスをいただいて、自粛しつつも日々頑張っている人々が、苦しんだり死亡者がでる期間が長引くことは望まない。ただし、食べたいから、飲みたいから、しゃべりたいからという欲望のままに、マスクもせずに自らリスクに飛び込んだ方々については知ったことではない。そもそも、コロナに頼ってどうするという話だし、質素ながらも幸せな生活にみんなが立ち返れば、簡単に改善できると思うのだが、人間は便利を追い求めすぎて後戻りする勇気がない。

 依然として楠の葉の色が悪い。長梅雨で何らかの菌に侵されて、本来5月頃が落葉のピークなのに、まだ働き盛りの緑の葉が夏から秋にかけて散り続けている。かつて青梅の梅林に大打撃を与えたプラムポックスウイルス同様に、今年は座間市の谷戸山公園などでナラの木を枯死させるウイルスが拡大していると当誌にあった。植物の進化の歩みは遅い。有効なワクチンができれば安全になる人間とは違う。それなのに、光合成をして酸素を作り、食物として栽培され、花粉を作って果実を実らせ、大木となって風避けとなったり、森林は洪水や土砂崩れを抑え、建物の木材となり…。つまり生き物、ことに人間は植物なしでは生きられない。しかも文句も言わずつきあってくれる。植物や虫と上手につきあうのは当たり前のこと。コロナ禍が落ち着いても、経済活動が戻っても、温暖化の負の連鎖は止めなければならない。たとえ不都合でも、ビニール袋の使用を控えよう。過剰包装をやめよう。廃棄する食物を減らそう。私が免許を返納するまでの間では無理かと思うが、走行距離の長い水素自動車だけが走る時代はいずれ来るかもしれない。火を扱えるようになったことで他の動植物をぶっちぎった人類が今、なるべく火を使わないように努力しようとしている。地球上でもっとも進化したと自負する滑稽で愚かな生き物で終わってしまって良いわけがない。
 

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