町田版 掲載号:2020年11月12日号 エリアトップへ

町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の69

掲載号:2020年11月12日号

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稲穂とガマズミ
稲穂とガマズミ

小さいエコ見つけた

 小山田の谷戸で地区委員会が稲作をしている。田植えや収穫などを子どもたちとともに行い、収穫祭の後は餅つきをして収穫を喜び、感謝する。それは自分が携わって得た食物の意義や、日本の農家の大切さも教えることができる素晴らしい取り組みだ。一昨年からだったか、年に一度の秋季例大祭で行なわれる神幸祭で、当社宮神輿の鳳凰にくわえさせる初穂をいただいている。あいにく、当社の氏子区域である原町田には水田がない。畑さえほぼない。神前に捧げるお供えも本来は地元で収穫されたものが一番だが、それも難しいから少し範囲を広めて、町田市内であれば神様も納得してくれるだろう。

 その水田がある谷戸は散策するにもうってつけで、私は毎年何回かは周辺の山や、やぶをうろうろしている。今回、収穫祭も仕事で参加できなかったが、一束いただけることになり、そそくさと受け取りに行った。すっかり収穫が終わり、稲木にはざ掛けされた束が並ぶ水田の傍らで、私は上だけ白い作務衣を着て受け取った。かくしてその瞬間に、手にした一束の稲穂は神聖なものとなり、今年はコロナのせいで神輿が中止になり鳳凰には付けられなかったが、来月の神嘗祭(かんなめさい)で神前にめでたく供えられることになった。

 さて、稲穂をいただいた後、夕刻が迫っているとはいえそのまま帰るようなことはしない。しばし里山の散策。春にセリをいただいた湿地にはツリフネソウが群生し、池に向かって行けばガマズミが真っ赤な実をたわわに実らせ、その下の草地にはイヌゴマが小さな花を並べていた。いつものことだが、あちこちうろうろしてちっとも歩が進まない散策。ガマズミは白い花の時期も良いが、実の時期はハッとさせられるくらい赤が際立つ。子どもの頃、霜が降りたら食べ頃だと父に教わった。霜が降りる頃には少し白い粉をふいて実は甘くなるが、待ちきれずに早まって食べると酸っぱさで顔がくしゃくしゃになる。大根を赤く漬けたり、ジュースやジャムにしたり、幹や枝は粘りがあって強く、まきを束ねるひもや民具の材料にも使われてきた。実が食べ頃になったらもう一度出かけよう。味わってから種をまき、いつか幹や枝を利用できるようになるかもしれない。自然素材のストローや器に試行錯誤している昨今、PPロープに替りカマズミを利用するのも大いにエコ。微力ながら温暖化抑制に貢献できるかもしれない。
 

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