町田市立博物館より38 ワイングラス...? 学芸員 齊藤 晴子
展覧会を見に行って、ホンモノの作品を目にしたときに、驚くことのひとつが作品の大きさではないかと思います。ポスターやチラシ、画集などで目にしていた作品が「意外と大きかった!」あるいは「小さかった!」という感覚は、多くの方が体験されているのではないでしょうか。
さて、現在町田市立博物館で開催中の「淡島雅吉展」のポスターやチラシで使われているこの作品は、お客様からよく「思ったよりも大きいですね」と声をかけられます。「ワイングラスかと思いました」とおっしゃる方もいました。実際には高さが36センチほどもあり、ガラス製としては結構大きな作品です。ちなみに「ひっくり返しても飾れるの?」と聞かれることもありますが、立たないことはないものの作品の正位置はこの向きなので、ひっくり返しては飾れません。
ガラス作品の中にはものすごく大きなものもありますが、この作品のように吹いて作るものは、技術的な制約などから大きく見えてもだいたい40センチ程度です。ものさしで測ると、40センチは大した大きさでないように思えますが、立体の作品だとかなりのボリューム感があります。
展覧会会場で作品を配置するレイアウトを考えるとき、作品の大きさを数字だけで捉えていると、思ったより作品が大きくてたいてい失敗します。「ちょっと余白をとりすぎかなあ」と思うくらいが実はいい塩梅です。学芸員としてはたくさんの作品をご紹介したいので、ついつい「あれもこれも展示したい」と欲張って詰め込みがちなのですが、見やすさや作品の余韻を楽しむことを考えると、心を鬼にして出品数を減らす作業も重要になってきます。また不思議なことに、優れた作品ほど力があり、実際のサイズよりも大きく見えます。逆に言えば、ひとつ飾れば間がもつ、あるいは空間を支配してしまうような作品が優れた作品ということなのかもしれません。
※4月7日(日)まで開催
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宮司の徒然 其の137町田天満宮 宮司 池田泉12月21日 |
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宮司の徒然 其の135町田天満宮 宮司 池田泉11月30日 |