恩方地区の「恩方ブルーベリーの里組合(中村貞夫組合長)」が発足して今年で13年目を迎える。「特産品を作りたい」という地元農家による地域活性化策として始まったブルーベリー栽培は、今では特定のファンをつかむなど成功を収めつつある。今年も間もなく出荷の時期を迎える。
イチゴ、リンゴではなく
「うちの組合は育て方が良いからよく実るよ」。中村組合長は誇らしげだ。「日本では寒冷地のヨーロッパ品種の栽培方法をそのまま取り入れていることが多い」。同組合では若い枝に栄養が回るようにするなど独自の工夫を取り入れることによって、しっかりと甘味が詰まった大きな実のブルーベリーを育てている。
15年前に前身となるブルーベリー研究会を立ち上げた頃の恩方地区の農業は好調とは言い難い状態だった。山が近いため平坦な土地は少なく、日照時間も短い。中村組合長は「かつては山から切り出した木炭で潤った地域。戦後プロパンガスが普及するようになると木炭の需要がなくなった。今はみんな兼業農家」。これまでにも恩方地区ではイチゴやリンゴを育てたが、「イチゴは東京都が苗の販売をやめた」(中村組合長)。リンゴは住宅地もある恩方地区では消毒作業が困難なために断念した。
夕やけ小やけが転機
そんな中で転機となったのは、1986年から八王子市が検討を進めてきた観光農業施設「夕やけ小やけ文化農園(現・夕やけ小やけふれあいの里)」(上恩方町)を作る構想。恩方地区が童謡「夕焼小焼」の舞台であることから計画された。
この機会に恩方の農業を盛り上げようと2000年頃に周辺の農家が協力して特産品を作ろうと動き出す。模索した結果、ブルーベリーにたどりついた。中村組合長は「恩方の土地は水はけが良くて保水力がある。ブルーベリーには適した土地」と説明する。
研究会に所属する3軒の農家で苗木を植え始めた。すると、予想以上に育ちが良く評判を聞いた農家が次々と取り組むようになり、今では組合員は19軒に。ブルーベリーは単価が高いことに加え、来園者に摘み取って楽しんでもらえる観光的な需要もある。限られた農地でも、ある程度収入が見込めるそうだ。
中村組合長に今年の出来を聞いてみると、「例年通りおいしい」。研究を重ねて毎年、安定した品質のブルーベリーが育つようになったという。
7月25日(土)頃に出荷予定。道の駅「八王子滝山」(滝山町)や「夕やけ小やけふれあいの里直売所」に恩方のブルーベリーが並ぶ。各農園でも購入、摘み取りができる。(問)JA八王子ふれあいの里直売所【電話】042・652・4184
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