先ごろ、幕を閉じた全国高等学校野球選手権・西東京大会。連覇はならなかったものの、台町・八王子高校は3番手投手がエース級の働きを見せるなど、「脇役」選手が活躍し、ベスト4に残る奮闘を見せた。
前年の優勝校でありながら前評判は決して高くなかった。4月に行われた春の都大会はベスト16。そんな中でチームを支えたのが「脇役」たちだ。
その一人が3番手の投手として選手登録された村田将輝投手(3年)。全6試合のうち5試合に登板し、明星高校との4回戦で相手打線をゼロに抑え(6回コールド)、チームに勢いをつけると、引き分け再試合となった創価高校との5回戦では2日連続登板。ボールの出所が打者に分かりづらい変則の下手投げで打者を翻弄し、チームの粘りを引き出した。また、初戦で好投した古市哲也投手、打撃では主軸を打つものの、投手としては「脇役」の高橋裕汰選手(共に3年生)も「隙間」を埋める活躍を見せた。
安藤徳明監督は「この選手たちがいなかったら勝ち上がることはできなかった」と目を細める。
一方、攻撃面でも脇役の活躍が目立った。その象徴的なシーンがベスト4をかけた明大中野八王子高校(戸吹町)との戦いだ。4点差をつけられた7回裏、無死満塁から1点を返した後、代打の雨宮諒也、山崎智也の両選手の連打で逆転に成功した。「2人とも3年生。これまで地道に練習を重ねてきた力に賭けたが、切羽詰まった場面でよく期待に応えてくれた」と安藤監督。その勢いに乗り、同校はこの回9得点。逆転勝利を収めた。
「俺が主役だ」
「脇役」活躍の背景にあるのが、昨年の優勝を支えた2人のエース投手と4番を務めるキャプテンの怪我だ。3者が万全な形で大会に臨めないことが分かると、チーム内に「自分が主役になるんだ」という雰囲気が浸透していったと安藤監督は話す。「元々能力の高い選手たち。昨年先輩たちに甲子園に連れて行ってもらった経験も生きていたと思う」
ただ、プロ注目の清宮幸太郎選手擁する早稲田実業高校との準決勝では、その勢いが止まった。相手投手に抑えられ、出塁することができなかったことから、「持ち前」の足を絡めた攻撃ができず1点止まり。村田投手もリリーフで登板したが、早実打線につかまり、これまでのようにチームに流れを呼び込むことができなかった。
安藤監督は「どこで負けてもおかしくない戦いばかりだった。私の想像以上に粘り強い戦いをしてくれた」と選手をたたえている。
早実戦を観戦した18年前の八高野球部で4番を務めた上壱分方町在住の山岸正典さんは「結果は残念だったが、まとまっていていいチームだった」と悔しさを隠し笑顔で後輩たちを見つめていた。
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