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織物発展の名残 「芳林閣」とは

文化

掲載号:2017年9月7日号

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▲芳林閣を管理する木崎さん。多目的室にて。
▲芳林閣を管理する木崎さん。多目的室にて。

日本庭園と書院風建築

 国道16号沿いの大型マンションの隣りに佇む、1000坪の日本庭園。南に浅川を望み穏やかな日差しに恵まれる中、200種1000本の樹木が「生き生きと」育っている。そしてその中心には総檜造りの「書院風建築」。緑の木立と「様式美」がおりなすこの空間が「芳林閣(ほうりんかく)」(大和田町)だ。

 9月16日(土)から始まる市制100周年記念「全国都市緑化はちおうじフェア」のスポット会場にも選ばれた。「時を忘れる」ような憩いの場所である一方、「八王子織物の記念物」と言われる建物について、その歴史はあまり知られていない――。

 かつてこの地には「木崎紡織合名会社」という織物会社があった。1928年にできた工場では、100人余の従業員が海外輸出向けの人造繊維を主原料とする織物を生産。製品は特に東南アジアで需要があり、工場は活気に溢れていた。

 同社のゲストハウスとして1942年に完成したのがこの建物。当初は2階建てで周囲から「御殿」「木崎城」などと呼ばれたそう。2階には宴会場もあった。しかし同年、太平洋戦争の激化に伴い、織物工場は軍需工場に転換させられることとなった。

時代伝える貴重なもの

 戦後は貸工場となり会社は織物業から手を引く。建物は住む人もなく老朽化が進み、解体も検討された。しかし戦前の建物が「再開発」などで減っていく中、「織物業が発展した時代を伝える貴重なもの」と考え、2001年、平屋に改修し再利用を始めた。建物を囲むように様々な庭木を植え、「香りある林」も作った。「芳林閣」の誕生だ。

 「いわゆる営業用の庭でなく、あたたかさを感じられる家庭的なものを心掛けています」。同社創業者、木崎茂重さんの5男で建物の保存に尽力し現在芳林閣を管理する木崎忠重さん(80)は話す。子どもの頃、自然の中で遊んだ経験、造園会社時代に身に付けた知識などを元に、自ら庭の手入れをしている。

 建物の一部は04年から「多目的室」として、研修会、お茶会、コンサートなどの利用に貸し出している。10月15日(日)までのフェア期間中は館内で休憩、見学を楽しめるようにする(入館料1000円)。時間は午前11時から午後3時。水木は休み。大正時代の広告宣伝物の展示もある。「お茶とお菓子で寛いでください」と木崎さん。庭園の観賞は無料。問い合わせは【電話】042・644・7464へ。

1957年の木崎紡織合名会社とその周辺の様子(上)/「お城」と呼ばれた頃の芳林閣。2階建てだった(左)/現在の芳林閣(右)
1957年の木崎紡織合名会社とその周辺の様子(上)/「お城」と呼ばれた頃の芳林閣。2階建てだった(左)/現在の芳林閣(右)

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