八王子森林パトロール隊(礒間正裕隊長)が今年結隊50周年を迎え、10月15日に高尾山薬王院で記念式典を行った。青少年による緑化活動の先駆けともなった組織で、今や観光名所として名高い高尾山の自然環境を守るなどしている。
JC事業として
式典には関係者ら約100人が出席。歴代の隊長らも顔を見せた。農林水産大臣からの祝電も寄せられた。今年度中には高尾山の仏舎利塔付近に記念碑が建てられる予定だ。
森パトは1967年に高尾山が国定公園に制定されたことを契機に同年、八王子青年会議所(JC)の青少年育成事業として発足。当時、社団法人国土緑化推進委員会(現・公益社団法人国土緑化推進機構)が青少年による緑化事業を普及させようとしていたところ森パトの活動に注目。「緑の少年団」を全国に促進する際、モデルケースとした。現在は森パトも所属している同団は全国で3421団体、約33万人(昨年1月時点)の組織に成長している。こういった経緯から、毎年春に日比谷で行われる「みどりの感謝祭」の開会閉会宣言や名誉総裁の秋篠宮殿下に花束を贈呈する係を隊員が務めるなど名誉ある団体ともなっている。
地道に保全活動
森パトは小学4年から中学3年生が対象。月に1回程度活動をしている。ベースとなる高尾山登山の際には清掃活動を欠かさず、高尾山以外でもキャンプや救命講習受講などをしている。現在40人が所属。
2013年から隊長をしている礒間さんは「言い過ぎかもしれませんが、森パトは高尾山がミシュランの3つ星に選ばれた遠因になれたのかも」と話す。山頂でのゴミ拾いなど「目立たない部分」で自然を守ってきた。隊員たちの姿が登山客のマナーに影響を与えたのかもしれないと推測する。結成した頃はゴミの散乱も多かったそうだが現在、登山道の途中でゴミを見かけることはほとんどなくなったという。「高尾山は自然が豊か。稲荷山コースを歩けば、片側は針葉樹、もう片側は広葉樹というようにきれいに植生が分かれる。自然が良い教室になっている」と活動の魅力を語る。
「周囲に支えられ」
JCのOBで森パトの担当委員を務めていた居酒屋「結び屋」(千人町)の代表・田村潤さんは、隊員たちがキャンプの最終日に食べる朝食バイキングを準備して3年目となる。店を営業するかたわら土曜日の夜に調理し、車を走らせて届けている。今年は日光まで配達した。「最終日は疲れているだろうから元気になってほしい。嬉しそうに『ごちそう様』って言ってもらえると、やりがいを感じますね」と笑顔。活動が50年続いた理由を礒間さんは「周りの方々の支援のおかげ」と話す。「子どもたちは今後の八王子を担う世代。たとえ引っ越しをしても心のどこかで『八王子で育った』という感覚が残れば」と礒間さんは願っている。
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