狛犬は神社の左右に配置されている想像上の動物の像。よく見ると神社によって様々な形や表情があることに気付かされる。戌年にちなみ、市内で「珍しい」とされる熊野神社(兵衛)と龍蔵神社・住吉神社(上恩方町)の狛犬を紹介する。
魔除けの意味合いもあるとされる狛犬だけに、恐ろしい顔立ちのものが多い。それでも「犬」に近く、愛らしさを醸し出すものもある。
八王子みなみ野駅から徒歩で10分と少し、閑静な住宅街に熊野神社はある。本殿の土台から「にょき」っと伸びるかのように鎮座しているのが同神社の狛犬だ。狛犬愛好家など一部では「のりまき狛犬」とも呼ばれているそう。氏子会副総代の糠信(ぬかのぶ)富雄さんによると、2003年に社殿を修復する際、縁の下からこの狛犬が見つかったという。「おそらく前足が破損したのはずいぶん昔。『本来は神社にあったものだし、粗末にしない方がいい』ということで本来の立ち姿に近い形で設置されたようです」と糠信さん。背中の刻印によると作られたのは明和2(1765)年。神社ができたのもその頃と推定されている。
綺麗な羽織を着せられており、お供え物のお菓子も添えられていた。羽織は毎年、氏子の人が手作りしているということで、地域に愛されているようだ。
糠信さんは「形が珍しくかわいらしい。愛嬌がある。素朴な造りだが狛犬の基本を忠実に守って阿吽の対になっているし、頭部の毛も渦巻き状なのでやはり狛犬。多くの人に知ってもらえれば」と話す。
龍蔵神社・住吉神社の社殿近くにある狛犬は「おかっぱ頭」でパグにも似た特徴的な形で、こちらも愛嬌がある。台座には「■■多摩郡上恩方■■講中十四人」(■は判読不能)とあり、宮司の高井住和さんによると「『講中』とは集落の人というような意味。当時は近くに14軒の家があったのかもしれない」という。同じく台座には寛政8(1796)年の造立とある。赤い前掛けが着せられており、地元の人によると「信仰心のある近隣の人が付け直している」そうだ。
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