1日、八王子市が中核市に移行して3年が経過し4年目に入った。東京都から市民サービス向上につながる事務の権限が市に譲渡され、市民の各種手続きの負担軽減が図られた一方、人口減少が進む地区の活性化を目的とした施策など、権限拡大を生かし八王子独自の取り組みが広がり始めた。
中核市制度とは一定の規模をもつ都市(人口20万人以上、市が移行した際は30万人)に、事務権限を与え、それぞれの街にあった行政を行えるようにするもので、市は多摩地域を引っ張る街としての発展、市民サービス向上を目指し、同制度を採用。移行後は、身体障害者手帳の交付期間が1カ月半から2週間に。3カ月かかっていた民生・児童委員の推薦期間が1カ月に短縮されるなど、一部手続きのスピードアップが図られるようになった。
鑓水の特別養護老人ホーム「絹の道」の桒原利政さんは「これまで都庁で受けていた、条例で定められた講習を八王子市役所で受けられるようになり、1時間以上の短縮につながった」とその効果を話している。
「質」重視の保育に
一方で、市の権限が拡大したことで八王子独自の取り組みが広がり始めている。そのひとつが保育施設の設備や運営に関して。保育所や認定こども園・乳児室の面積は国が1・65平方メートル、都は3・3平方メートルとしているのに対し、市は3・3平方メートル以上と定め、職員の配置は、国と都の保育所が3歳児20人につき1人としているところを、市は15人に1人とするなど、中核市に移行後、「質」重視の保育を進める市の方針が鮮明になってきた。
地域活性化支援も
また、高齢化や人口減少に悩む市内地域などの活性化支援にも市は取り組み始めた。昨年11月、小津町では市の支援を受け、オリーブを植えるイベントが開かれた。市などの発案で使用していない畑を活用し、オリーブを小津町の特産物にすることで街に「目を向けてもらうようにする」試みだ。小津町会の前原教久会長は「支援してくれてありがたい限り。他にも古民家を再生させる事業なども動き始めている」と笑顔をみせる。
景観形成に着手
独自の取り組みは屋外広告物に関するルール策定にも及ぶ。市は現在は高尾駅北口地区の屋外広告に関する地域ルールを策定中で、八王子を代表する観光地高尾山の窓口として、雰囲気を壊すことなく、観光客に受け入れられる景観形成を目指している。「今後も八王子駅周辺など、それぞれの街に合った景観形成を進めるためのルールづくりを行っていく予定」としている。都市・地域計画を研究する明星大学(日野市)の西浦定継教授は「人の生活行動は行政区を超えて発生する。そのため、八王子の独自性を出していくには日野などの周辺自治体との調整も必要となってくると思う。今後は八王子の調整能力を高めていく必要がある」と指摘している。
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