八王子版 掲載号:2018年6月14日号
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世界チャンプが寿司授業 旨さ伝えて職人確保へ

社会

学生たちに腕前を披露する地引さん(右)
学生たちに腕前を披露する地引さん(右)
 人材不足は外食産業でも深刻化している。そんな中、専門学校で学ぶ若者に寿司の魅力を知ってもらおうと、市内で3店舗を展開する回転寿司「独楽(こま)寿司((株)システム企画)」が8日、萠愛(ほうあい)調理師専門学校(下恩方町)で特別授業を行った。

 講師を務めたのは世界一の寿司職人を決める大会「グローバル寿司チャレンジ」(2015年/ノルウェー)で優勝した地引淳(じびきじゅん)さん(同社勤務)。学生35人の前で実演した。同校はベトナムやネパールからの留学生が多く、寿司を食べたことのない学生も。地引さんは「寿司は旨いということを知ってもらいたい」と、その日の朝に小田原港で仕入れた魚を持ち込んだ。

 世界を獲った腕前を披露しつつ、「備長炭を通して炙ることでガス臭さをなくせる」「親指で押さえながら(シャリの)脇を絞めていく」など解説をした。見事な出来栄えに、急きょ学生たちから一緒に記念撮影を求められる場面も。学生たちによる調理について地引さんは「シャリは空気を入れるような感じで口の中でほどけるように。お客さんを見て、箸で食べているなら崩れない堅さで」などと指導した。

 学生たちは自分で握った寿司と職人の寿司を食べ比べて納得の表情を浮かべた。ある学生は「握っている時間が長かったせいで、手水(酢を混ぜた水)がつきすぎた」など、その違いを感じている様子だった。

 同校の園田京子学長は「現場の職人による授業は初めて。実際に店で働いている人の動きを見て、学生の意識が向上すれば」と話す。また、留学生が多いだけに「日本で本物の寿司を知って、将来は自国に帰って寿司店を開く学生が出てくるかもしれない」と話した。

まずは興味を

 こういった授業の背景には「職人不足」があるという。同社の高麗正之介副社長は「少子化の影響で働く人の確保が難しくなってきた」と話す。世界チャンピオンを輩出した同店は回転寿司の中でも価格より質で勝負する「グルメ回転寿司」と呼ばれる。そのため職人の確保は重要課題。しかし、「就活イベントでも、飲食と介護は不人気」(高麗副社長)という現状がある。一方で、調理師専門学校では学ぶジャンルが多く、必ずしも寿司の授業に十分な時間を割けているわけではない。現場の職人による直接指導で学習内容を充実させながら、学生に興味を持ってもらえる機会は両者にとってメリットがある。

 授業を見学した嶋村調理師専門学校(小田原市)では、店から職人を招く授業を月に1回ほど行っている。最近は早めの人材確保を目的に増えているという。同校の檜山大亮副校長は「現場の人の仕事が見られる良い機会。就職先の候補にもなり、実際に就職する学生もいる」と話す。

 高麗副社長は「将来、板前になる人に『寿司は旨い』ということを知ってもらうだけでもプラスになる」と話す。

当日は「世界一」になった「創作寿司」の作品も再現した
当日は「世界一」になった「創作寿司」の作品も再現した

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