八王子市内に、世界上位の力をもつトップスイマーがいる。元八王子町在住の中村健次さん(60)だ。昨年マークした、50M平泳ぎ(50Mプール)の日本記録33秒98は60〜64歳代の世界3位にランキングされ、歴代でも9位に位置している。「知人に教えてもらい驚いた。競技を続けてきた甲斐がありますね」と中村さんは顔をほころばせる。
悔しさが原動力
「生活を見直したい」――。そう考え、中村さんが西八王子にあるスポーツクラブの門を叩いたのが14年前。当時は飲食店を経営。付き合いもあり、お酒やたばこを「あおる」毎日を送っていたことから、「身体がぶよんぶよん」の状態だったのだという。
運動不足解消のためにと、当初はウェートトレーニングなどにあたっていたが、友人の誘いを受け、学生時代に授業で泳いだ程度の経験しかなかったスイミング大会に出場することに。が、25M平泳ぎのレースで惨敗。「あまりの悔しさに指導してもらうことに決めたんです」。そして、学生時代、バレーボール競技で培った闘争心をもって本格的に練習を始めると、みるみるタイムが向上。
その飛躍を支えたのが素直な心。「全くの初心者だから」とコーチの指導を素直に受け止められたことが、185センチの身体を生かした、スピードの出るフォーム習得を可能にした。
気がつけば、体形はアスリートのものになり以来、競技を継続していくとお酒やたばこを欲する代わりに、水泳の奥深さを追求するようになっていった、と中村さんは振り返る。
”自分超え”目標に
現在は、市内の介護施設職員としてフルタイムで働きながら競技に取り組んでいる。「5年ぐらい前から、今の年代の日本記録を狙ってきたんですよ」と、毎年自分越えを目標として競技にあたり、年を重ねるごとにタイムを向上させてきたのだという。タイム向上はもう難しいかな、と話しつつ、年代別世界大会への出場に意欲をみせる。「日本で行われる時に出場できればいいけどね」
競技を通して得た、仲間やライバルなど多くの出会いが一番の宝物と話す還暦スイマー、更なる自己越えに挑む毎日が楽しい、そうだ。
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