東京純心大学(滝山町)は八王子市と連携し、がんと診断された人とその家族を支援するプロジェクトを展開している。今年1月から本格的に活動をはじめ、現在は最初のステップとしてその実態調査に取り組んでいる。八王子市は昨年度がん対策推進計画を策定し、これまでのがん検診の推進、がん予防の普及啓発だけでなく、がん患者支援の視点も盛り込んだところ。担当課は「ニーズの把握はがん対策の推進に不可欠」と期待を寄せる。
教授らが企画
学校法人東京純心女子学園は1963年に創立。67年に短期大学を開学。96年、短大を改組し四年制大学(東京純心女子大学)に。15年、東京純心大学と改称、看護学部を新設した。
このプロジェクトを進めているのは大学の教員4人で、全員看護師の資格を持つ。中心となって活動する看護学部の坊垣友美教授は16年に赴任。同年、同大学が八王子市包括連携協定を締結したこともあり、翌17年、プロジェクトを立ち上げた。
プロジェクトはがんと診断された人、家族のニーズや支援を受けるためのバリアー(障害)を調べ、その結果をもとに「包括的なアプローチ」を推進する考え。具体的には【1】相談支援施設、行政、患者団体の「有機的な連携」の構築、【2】がんと診断された人と家族への情報提供、【3】がんサロンの開設、そして【4】ピアサポーター(体験を共有し共に考える人)の育成などで、最終的な目標はがんと診断された人と家族の生活の質(QOL)の向上だ。
月末までアンケート
プロジェクトのスタートとしてまず取り組んでいるのが「実態調査」。アンケート形式で、がんと診断された人と家族らを対象に「からだのつらさ」「こころのつらさ」「相談相手」「緩和ケアについて」「知りたい情報」などを尋ねている。市によるとこれまでこのような調査は実施したことがないそう。
アンケートは今月末まで受け付けている。用紙は同大学HP内のサイト(http://www.t-junshin.ac.jp/univ/cancer_pro/)からダウンロードできる。
坊垣さんはこのプロジェクトについて「地域に暮らす市民のニーズをまず捉えた上で、行政、かかりつけ医や病院などの医療機関、患者団体などと一丸となって包括的支援を展開することが大切」と話した。坊垣さんは現在、がん患者の心身の苦痛の緩和や治癒力について研究している。
市「環境整備を」
担当する八王子市成人健診課は「がんに罹患された方、その家族、そして、支援、医療に関わる方はどういったニーズがあるのか。本市のがん対策を進める上で、その把握は不可欠です」とし、「この意識調査(実態調査)の結果を確認させていただきながら、市民、医師会、医療機関等関係機関と連携し、がんになっても周囲の理解のもと、住み慣れた八王子で安心して暮らせるよう環境整備を進めていきたいと思います」とコメントを出した。
|
<PR>
八王子版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|