八王子市内84園の私立認可保育園で構成される「八王子市私立保育園協会」が現在、新しく就職した保育士への「就職祝い金制度」確立のための準備を進めている。東京都内の保育園協会では初の試みというこの制度を、同協会は保育士不足の解消と雇用の安定化につなげたい考えだ。
保育園間の情報交換をスムーズにすることなどを目的に1986年に設立(当時の名称は八王子私立保育園協会)された同協会は昨年、協会が主体となって様々な事業を展開していけるように任意団体から一般社団法人へ移行。
その取り組みの第一弾とする祝い金制度の確立を目指し協会では現在、準備を進めているところだ。今月中に事業を行えるようにするための申請を東京都に行い、認可が下りれば、2019年度から祝い金制度を実施していく計画を立てている。
同会の宮崎豊彦会長は「都内市区町村にある保育園協会では初となる取り組みだと思う。制度によって、採用に関する会員園の負担を軽減すると共に、この制度を『八王子の保育園』の魅力の一つとして、他の地域からの採用を増やしたいという考えもあります」としている。
市内で保育士養成の学校を運営している大庭憲弘さんは「生徒にとってありがたいお話。八王子で保育士として働くことの魅力アップにつながると思う」と制度を歓迎している。
背景に保育士不足
この取り組みの背景にあるのが、慢性的な保育士不足だ。
同協会に加盟する保育園では、人材派遣会社などを通じて保育士確保にあたる園が少なくなく、協会によると、人材紹介会社などの手数料は保育士の給与の3、4カ月分が相場のため、1人の保育士が紹介で就職した場合、園から紹介会社へ100万円相当の支払いが必要となるなど、採用に関する園の負担が増しているのだという。
その一方で、加盟園では新人保育士が就職後に2カ月以内で退職するケースが増えていることから、それらの解決案として出たのが、今回の祝い金制度だった。
2年弱で20万円
協会が考えた祝い金制度は、加盟園に就職した保育士に対して、勤務開始日から6カ月間、同じ保育園に勤務した場合にまず10万円。
それ以降に19カ月、同じ園で働き続けると、更に10万円が支払われる(合計2年1カ月で20万円)というもので、加盟園への就職を後押しする一方、各園の採用負担を軽減させ、2回に分けて祝い金を支払うことで雇用の安定化につなげたい考えをもっている。
「2年程度勤務し続けると園に馴染み、離職者が減る傾向があるとの声が協会内で多かったんです」と協会幹部。
宮崎会長は「今回の取り組みだけでなく、今後も、会員園を支援するための施策を実施していきたい」と話している。
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