税知識の普及などを推進する八王子間税会の会長を務める 伊奈 稔さん 台町在住 84歳
「役人」から割烹「職人」へ
○…間接税である消費税の始まりと共に、発足した集まり。「間税会は誘われて入りました。おしゃべりが好きだしね」と愛嬌たっぷりに笑う。会長になり、およそ20年。昨年度から市内中学生を対象に標語コンクールをスタートした。税については「法人税を下げて、消費税を上げている。(企業も市民も)同じ負担にするべき。今は藩閥政治に戻っているようだよ」と語る。
○…相模原市の城山の出身。地元の中高を卒業後、横浜国立大学へ。機械工学を専攻した。「県の工業試験所に入ろうと思ったけど、面接で『しゃべりはむいていない』と言われてね」と苦笑い。県庁の工業課で働くことに。その後、八王子の老舗料亭からお見合いの話が舞い込んでくる。「機械好きだから手先は器用だよ」。婿に入り、店主の義父が体調を崩したのを機に厨房へ。バトンを受け『割烹伊奈喜(いなき)』の3代目となった。
○…「うちは小結級のお店だった。料亭は13軒あったけど、今は2軒だけだね」と昭和を懐かしむ。残ることができたのは「時代にあわせることが大切。お客様を選んでもいけない」と説く。「いないとこの町はなりたたない」と、芸者の支援にも力を入れる。実は県の役人時代、仲間を連れて八王子芸者衆とよく遊んでいた。「きっぷのいい芸者さんもいたね。今の子はしっかり勉強しているよ」
○…「着物が名刺代わり」と言われるほど和装を好む。40年ほど前、高尾山の役員になり法要で紋付袴を作ったのがきっかけ。箪笥は袷(あわせ)や単衣(ひとえ)でいっぱいだ。趣味は囲碁。好物は、今は長男がきりもりする自店で提供している天丼。夫婦は来年、ダイヤモンド婚を迎える。共に元気でいられるのは「高尾山のご利益だよ」と感謝した。
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