今月84回目の定期公演を行うバレエ団シャンブルウエストを率いる 川口 ゆり子さん 上野町在住 68歳
楽しんでもらうことがバレエ
○…牧阿佐美バレエ団のプリマとして主演を演じ、海外でも活躍。2006年には紫綬褒章を受章。そんな世界的なスターによる恒例の地元公演が近づいている。「都心まで行かなくても本物を届けたい」と始めて84回目。今年は旗揚げ時と同じ演目「くるみ割り人形」だ。「バレエは音楽も照明も衣装も含めた総合芸術。耳馴染みのある曲や中国、ロシアの踊り、そして舞台装置も見どころです」
○…小5まで暮らした親元(八王子)を離れて吉祥寺の橘バレエ学校に。「6人兄弟の末っ子だったから、かわいがってもらえました。だから家を出ることには親もびっくりして」。稽古場の上に住み、毎日レッスンに励んだ。指導は日常のあいさつや話し方、食事のマナー、さらには華道、茶道にまで及んだ。「先生は母親代わりでしたね。舞台には『人間性』が出てしまう。だから人間ができてないと」と教えられた。
○…芸術選奨文化大臣新人賞を受賞し、乗りに乗っていた20代の頃、腎臓結石を患った。これまでどおりに動けなくなることを恐れ、メスは入れずに自然治癒を選択。3〜4年が経過し、痛みはなくなったが「1日練習しないだけでも、思い通りに動けない。もうセンターは踊れない」。長い空白期間がやる気をそいだ。その後、恩師からの手紙をきっかけに、「挨拶だけ」と教室を覗きに行ってから、踊る喜びを思い出した。再び舞台を目指した。
○…現役で踊り続けるため、スタジオには誰よりも早く来て、誰よりも遅く帰る。「舞台に出る以上はそれくらいやらないと」。後進の育成も楽しみだ。「子どもたちからパワーをもらっています」。来年は自身のスクールの30周年。新しい企画も考えているという。「毎年『今年こそ引退』と思うんですが」。楽しい舞台はまだまだ続きそうだ。
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