「女性医師が働き続けられる」病院づくりを進めている 桑江 千鶴子さん 町田市在住 67歳
助け合い生み、「女性」守る
○…昨年6月、大船町に産婦人科クリニックを開院。長時間の業務が当たり前ともされる産婦人科の女性医師や看護師らが働きやすい環境を整えた。「一人ひとりが多種多様な仕事ができるようにすることでカバーし合える環境にしたんです。子どもが熱を出した、では、その人の代わりを私が務めますという風に」。結果、スタッフ一人ひとりの仕事のレベルがあがったと笑顔をみせる。
○…都立病院などで産婦人科医として勤務してきた。呼び出しを受ければ休みを返上して出産に立ち会う――。そんな環境のなか、出産育児を理由に仕事から離れていく同僚の女性医師らの姿を見て「産婦人科に出産育児の体験をもつスタッフがいなくなるのは大きな損失。患者さんに共感できる人が居なくなってしまうなんて」。以来、現状の見直しを学会へ提言するなど、女性医師の働き方改革に取り組んできた。
○…多忙のなか、息抜きとなっているのが読書だ。ただそのなかでも、弱い立場に立たされてきた女性の原点を探ろうと、縄文時代について記された書籍を愛読するなど、その強い探求心が顔をみせる。「様々な本を読むと、日本の女性は男性に頼り過ぎてきたんだなぁと感じます」。そこで思い出されるのが母の言葉。「男性と対等に働くためには手に職を持ちなさい」。それが医師を目指すきっかけにもなった。
○…もうすぐ、クリニック1周年を迎える。理念を追求し過ぎて経営に関して甘いところがあったと反省しつつ、次に目指したいとするのが母親による子どもの虐待防止。「傾向は妊娠中から分かるんです。女性が女性を助ける流れを生んでいきたい」。夫と子どもたちに支えられてきたから「今の私がある」。感謝の気持ちが、第一線に立ち続ける力となっている。
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