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「15話」で伝える原発事故 初沢町の喫茶店 写真集う

文化

掲載号:2022年6月16日号

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作品を紹介する菊池さん(左)と遠藤さん
作品を紹介する菊池さん(左)と遠藤さん

 東日本大震災による福島第一原発の事故で、現在も帰還困難区域が残る福島県を撮る写真家、菊池和子さん(76)。菊池さんによる写真絵本原画展が、初沢町の喫茶店で6月28日まで開かれている。菊池さんの取材に基づく当事者の心情が写真とともにつづられ、「15話」紹介されている。企画した店主、遠藤宣夫さん(73)は「福島で何が起きたのかを改めて知り、考えてもらうきっかけになれば」と思いを寄せる。

 会場は遠藤さんが営む初沢町の喫茶店「ヴィ・マエストロ」。知人の紹介で、菊池さんから原画展の話が持ち掛けられたのがきっかけだ。

 展示されているのは、写真絵本「私はあいちゃんのランドセル―福島原発事故の記録―」(2020年/遊行社)に収録される原画15点。赤いトラクターに座る農夫、仮設住宅でサッカーボールを手にする少年などは、2011年3月11日以来、放射性物質の広がりにより故郷に戻れなくなった人たちだという。

 コロナの影響で延期になっていたが、遠藤さんは昨今の世界情勢を見て、開催を決意したという。「戦争により原発の再稼働や核武装に関してさまざまな意見があがっている。原発の怖さを知った上で議論することが大切」と思いを打ち明ける。

70人以上に取材

 『あの日は卒業式でした 午前中は「卒業の歌」「送る歌」で 私も大活躍したんです でも、地震と原発の爆発でみんな逃げて行きました それから、長いことここで眠ったように、ひとりぼっちで過ごしてきたんです』--。

 中学校体育館でピアノを弾く男性を映した写真に添えられる文章だ。震災発生後、避難指示が出た大熊町で、5年ぶりに体育館に訪れた様子をピアノの視点で紹介する。

 菊池さんは撮影の際、2、3時間かけて震災当時や心情を当事者に取材してきた。「被災から立ち上がろうとする人の力を、間近で見て記録して伝えていきたい」と、これまで話を聞いた人は70、80人に上る。

 南相馬市や双葉町、大熊町など、福島県を撮り始めたのは2014年6月から。人脈もなく飛び込み、現在も活動を続けている。

 菊池さんは「原発の事故は解決に何十年かかるのかわからない。けど、時間の経過につれてなかったことにされるのではないかと感じる。次世代につなげていかなければ」と話す。

 出版以来、菊池さんは都内を中心に原画展を20、30回開催している。「原発事故の影響、その背景は深い。その一端を多くの世代に伝えていければ」と思いを込める。

17日、朗読と写真背景語る

 写真絵本原画展の「朗読ライブ」と「スライドトーク」が6月17日(金)、ヴィ・マエストロ(初沢町1231の5栄和ビル2階)で開催される。午後3時から5時まで。

 アイリッシュハープの演奏に乗せて同作品の朗読と菊池さんから写真の背景が語られる。出演者は、朗読が劇団創芸の神志名教子さん、奏者に梶伸子さん。参加費1000円(コーヒー付き)。申込み、問合せは同店【電話】042・673・6728。

展示中の原画の一つ。紅白幕が飾られた体育館で校歌を弾く男性
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