上壱分方町在住の佐々木雄汰(ゆうだい)さん(18)が23日、新宿区でムエタイのWMC世界バンタム級王座に挑む。現在、異なる3団体の日本チャンピオンである佐々木さんは「これまでの努力を出して勝ちます」と静かに闘志を燃やしている。
念願の世界戦だ――。初めて日本王座に就いた2015年からチャンスをうかがっていた佐々木さん。対戦相手は、ムエタイの本場タイ出身のチャンピオン、チョクディPKセンチャイ選手。近距離での打ち合いを得意とする突進型の選手で、佐々木さんが所属する横山町・尚武会の今井勝義代表は「400戦以上の試合をこなしている強敵」と話し、佐々木さんが勝つには、突っ込んできたチョクディ選手にカウンターで肘を入れられるか、が勝つためのポイントになると見る。「国内では、雄汰の格闘技術は最高峰だが、世界チャンピオンは更にその上をいく」と苦戦を予想。
一方で、佐々木さんは「やはりかわしていく戦いになると思う。いつも通りやるだけ」と試合をイメージしている。
8歳から
佐々木さんがムエタイを始めたのは8歳の時。「親が飲食店で偶然ムエタイ選手に会い、その流れで私たち3兄弟にやらせたようです」
そして、兄、姉と共に始めたムエタイ。当初から怖さは感じず、思いっきりパンチや蹴りを繰り出せることに楽しさを覚えたのだという。当時は”やんちゃ”で躊躇なく相手に突進していくタイプだったものの、中学生の頃に行ったタイでの武者修行で、現地のトレーナーに「待つ大切さ」を教えられ、相手の動きを冷静に分析してから攻撃するスタイルへと変わっていったのだという。
その強みは、相手との間合いを的確に図れる感覚。そのため、相手の攻撃に自身の攻撃を「被せる」カウンターを得意とし、身体の軸となる体幹が強いことから、相手を抱え込み、膝を打ちこむムエタイ独特の技「首相撲」も得意技の一つになっている。
それらを武器に15年にプロデビューすると、同年には早くも日本王座に就くなど、頭角を現していった。「ジムの鎌田益弘トレーナーが自分に合った練習を課してくれたことも、強くなれた理由になっています」
仕事と両立
中学卒業後、ムエタイ選手として戦っていく道を選んだ佐々木さん。ただ、国内でムエタイはマイナー競技であるため、その日本王座という看板だけで生活していくのは厳しい現実もある。
そのため現在は、祖父が八王子市内で経営する会社で兄と共に仕事を行いながら、夕方、横山町のジムで練習を重ねる毎日を送る。「今年から祖父の会社で仕事を始めたのですが、覚えることが多くて大変です」とムエタイでは弱音を吐かない日本チャンピオンも慣れない仕事に悪戦苦闘中のようだ。
佐々木さんの母親、直美さん(38)は佐々木さんを「普段は甘えん坊の子ども。だけど、リングに立つと別人のような一人の大人になる」と話し、今回世界チャンピオンになり、将来的に格闘技一本で生活していくことができるぐらいの選手になってもらいたい、と期待を寄せている。
必ず世界王座に
世界戦は、新宿区のイベント会場「新宿FACE」で尚武会が主催するムエタイ興行のメインカードとして行われる。「当日は姉も日本王座に挑む。いつも応援してくれている方々に喜んでもらえるよう、必ず世界チャンピオンになります」
試合のチケット(残りは立見席のみ)に関する問い合わせなどは同会【電話】042・651・5184へ。
八王子版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|