災害に備え、八王子市内でも「共助」の体制づくりが進んでいる。そのなかで参考とされているものの一つが24年前のきょう起こった阪神淡路大震災だ。普段から顔見知りの関係を築いていたことがスムーズな救助活動につながった「共助」の事例として、その精神は市内でも生かされている。
昨年11月――。長房町の小学校で行われた、長房や並木町の住民らで構成される「横山北地区町会自治会連合会」の避難訓練。それまで行われていた、消防隊員による講和や消火器訓練などに代わって、机上で、避難所で起こる様々なケースについて討論し合う訓練(避難所運営ゲーム)が行われた。
約10人ごとに避難所の図面が描かれた台紙を取り囲み、起こりうるシチュエーションが書かれたカードをめくるごとに、そこに書かれてある内容について参加者は討論し合った。「足に怪我を負った人がやってきた」――。「ここで休んでもらおうよ」「いやこの場所で治療を」
当初、出入口とトイレしか描かれていなかった台紙は、討論の結果出た、課題に対応するための答えで埋め尽くされていった。「一つの問いに対して様々な意見が出され、災害が起こった際の対応策のバリエーションが増えた」と、同会の生永恭博会長は話し「より実践的な訓練になった。普段想定していない質問が多く難しかったよ」と振り返る。
今回、この方法を採用したのは、災害が起こった際、八王子市や消防などの「公助」を受けられるのは早くても3日程度経過した後という現実のなか、住民たちの手で避難所を運営できるようにするためだったとする。
「次はそれぞれの町会ごとにこの訓練を開いてもらって、より広く、自助を含めた防災意識を高めてもらいたいね。阪神淡路では顔見知りの関係が築けていた町会では被害が抑えられたと聞く。訓練を通してそのような関係づくりも進めば」
新たなつながりも
一方で、新たに「共助」の街を生み出す動きもある。南大沢のUR団地「ベルコリーヌ南大沢」では昨年5月、住民たちが独自の防災組織を発足し、団地住民らの防災意識を高めるためのイベントを開催するなどの取り組みを始めた。
「近年各地で大きな災害が増えており、危機感をもって発足させた。この団地には自治会などがなく、住民同士のつながりが薄いので、イベントなどを通して、まず顔見知りの関係づくりから始めていきたい」と会長を務める深谷誠さんは話す。
昨年12月には「ぼうさいキッチン会+防災訓練」と称した、食事をしながら災害について語り合う場を開催し多くの団地住民を集めた。「そのおかげもあり現在、会員は発足当初の7人から約40人まで増えました。私たちも阪神淡路大震災での教訓を参考に活動していきたい。首都大学東京の学生さんたちが協力してくれているのも心強い」と深谷さんは話している。
市内の「共助」体制づくりを進めるため、市民に向け町会・自治会への加入促進活動を行っている「八王子市町会自治会連合会」の秋間利久会長は「いざという時に頼れるのは隣近所。多くの方にそのことを知ってもらいたいと考えている。会として今後もその周知に力を入れていきたい」と話している。
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