八王子市は現在、市内107の公立小中学校に通う児童生徒がタブレット端末をひとり1台使えるように準備を進めている。当初、2023年度の実現を目指していたものの、新型コロナウイルスの影響で自宅学習の必要性が高まった現状などから早期整備を目指す国の方針に沿った形だ。
コロナにより前倒し
このタブレット端末をひとり1台に配備し、学校の通信ネットワークを整える事業は「GIGA(ギガ)スクール構想」と呼ばれ、児童生徒らが個々の力に合わせて学習を進められる取り組みとして昨年以降、国が推し進めているもの。
事業の実現化は各自治体の判断とされ、元々、教育環境の充実を目指していた市は今年に入り導入を決定し、国が示すロードマップにそって2023年度の実現を目指し準備を進めていた。
そんななか新型コロナウイルスの感染が拡大。全国の学校が休校となるなか、オンラインでの自宅学習の必要性が高まったことなどから国は4月にGIGA構想の「前倒し」を各自治体に通達。それを受け、市は今年度中の実現を目指し現在この事業の予算案を組み直しているところだ。
「実現にはおよそ4万台を超えるタブレット端末が必要となるが、国の補助金制度を利用するなどして導入を進めていきたい」と市の担当者は話す。
個々に合わせた学習可能に
導入によるメリットは大きい。端末に動画などを見ながら学べるシステムを導入することで、児童生徒がそれぞれの学力に応じた学習を進められるようになるのだ。
その先行事例となるのが第一中学校(石川町)の取り組み。自宅学習を定着させるため今年度から身近に端末があれば家庭でも全教科を学ぶことができる外部のシステムを導入したのだと言い、それによりコロナ禍で学校が休校となるなかでも生徒たちはそれぞれの課題に取り組むことができたのだという。
「画面上に出された質問に答える形でそれぞれの学力に応じた難易度で学ぶことができます」と同校の磯村陽一郎教諭。このシステムでは生徒一人ひとりの学習状況がひと目で分かることから、それを元に生徒、保護者と共に学習の進ちょくについて相談できるメリットもあったという。「ゲーム感覚でやっている子もいる。生徒たちが学習習慣を身につける方法として有効でしたね」
昨年度から「ひとり1台」を採用している私立の八王子実践中学高等学校(台町)の担当教諭は「おかげでコロナ禍でも生徒たちの学力を落とさずに済んだと考えている。今後はひとり一台は欠かせないものとして広まっていくと思う」と話している。
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