多摩市教育委員会はこのほど、市内の小・中学校に配備しているタブレット端末で活用できる教材「アプリ版・東京ベーシック・ドリル」を開発した。この教材は、地元企業の(株)ベネッセ・コーポレーションとの共同開発で多摩市が独自に制作したもので、今後、これを活用し、子どもたちの基礎学力や学習意欲の向上につなげていきたいという。
市教委では、ICT(情報通信技術)教育の一環として、2013年度から16年度までに市内全27の小・中学校にタブレット端末42台の導入を計画しており、現在19校に配備。そのタブレット端末を使った教材を制作しようと、地元企業のベネッセに打診。同社は小学生向けの学習ソフト「ミライシード」を開発しており、今年度から共同開発に乗り出して、このほど「アプリ版・東京ベーシック・ドリル」が完成した。
この「アプリ版」のベースとなっているのは、都教委が制作し、昨年から都内の小学校に配布していた「東京ベーシック・ドリル」。このドリルは、小学1年生から4年生を対象に、国語・社会・算数・理科の基礎・基本について、学習内容の定着を図ることを目的に制作された教材で、これまではプリントアウトして使用されていた。
今回、多摩市が開発した「アプリ版」は、このドリルが端末で利用できるようになり、自動採点、集計機能が付いた他、写真コンテンツがカラーで収録された。紙からデジタルになったことで「資源、労力を省くことができる」「その場で自動採点できることで児童がすぐに正誤が確認でき、教員の採点負荷が軽減できる」「解答結果や思考の過程などがデータとして蓄積できる」「カラー問題を収録することで学習意欲の喚起につながる」「問題を解くとポイントが加算され、連続で解くと多くポイントが貯まる仕組みでゲーム感覚に近い形で学習が進められる」といった利点が望めるという。
「子どもたちは楽しそう」
市教委では、すでにタブレット端末の配備が完了している北諏訪小学校を試験校に、11月から教員向けの研修を行い、12月から授業の中で活用を開始。12月18日には、その様子が公開された。授業で使われたのは4年生の算数の授業の冒頭15分。子どもたちは、連続正解すると誇らしげに教員に報告したり、問題が解けなかった児童には教員がその場で指導していた。同校の坂本忠男校長は「子どもたちは楽しそうに取り組んでいる。まだ導入して間もないので効果が出てくるのは先だが、集中して取り組んでいきたい」と話す。
多摩市は、今年度から3年間、小・中学校の算数・数学・理科の教員の指導力の向上と、児童・生徒の基礎学力の定着を図ることを目的とした「学力ステップアップ推進地域」に都教委から指定されていることから、市教委では全国に先駆けて推進している「持続発展教育・ESD」に加え、この「アプリ版」を積極的に活用して確かな学力を育んでいきたいという。「タブレットで先生たちが一括管理できることで様々な負担を軽減できる分、指導力の向上を図れる。放課後教室などでも利用してもらい、児童の学力向上、学習意欲の向上につなげていければ」と話している。
今後は、3学期から他校でも使えるように準備を進め、今年3月に都教委が発行する予定の中学生向けの「ドリル」を「アプリ版」にして活用していく計画だ。
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