多摩市はこのほど、今年4月から5年間での読書活動振興と図書館運営の課題解決への取り組みを進めるための「多摩市読書活動振興計画」の原案をまとめた。2月1日までインターネット上などでパブリックコメントを募集すると同時に、東寺方や永山など7図書館等で市民懇談会を実施。懇談会では、公共施設の老朽化に合わせた「暫定活用中の本館を新たな本館として再構築」「地域館で分散しているサービスを本館と2つの拠点館に集約」という取り組み方針に対し、多くの市民から「地域館廃止」に対する多くの反対意見が寄せられた。
読書活動振興計画は、今年4月から2021年3月までに「文字・活字文化振興法」に基づいて読書活動の振興を図ると共に、その土台となる図書館の運営の改善を行うことを目的に立案されたもの。2014年に市で策定委員会を発足し、図書館協議会に意見を聞きながら、昨年12月に原案としてまとめられた。
この原案で掲げられている目標像は、2011年に策定された「多摩市立図書館の基本方針・運営方針」をもとに「市民の『知る』を支援し、自ら考え、共に課題を解決できる、心豊かな地域を育む」。多摩市と同規模の全国の市区町村の中で個人貸出件数、予約件数がトップクラスであることなどの現状と、「『多摩市公共施設の見直し方針と行動プログラム』で示されている暫定活用中の本館は、新たな本館として再構築する必要がある」「地域館で分散していたサービスを新たな本館と駅前2拠点に集約」といったハード面、「市民の読書活動や調べ物を支える様々なサービスに手が回っていない」などソフト面での抱えている課題を踏まえて作成された。
そうした現状と課題をまとめ、【1】だれもが使える図書館【2】子どもへのサービスの充実【3】市民や地域に役立つ図書館【4】しらべるを支え、つながる図書館【5】弾力的な管理・運営といった5つの運営方針を基に、「多摩市の中心部に新たな本館」「関戸・永山の拠点館で全域サービスを実施」への取り組みを進めていくとし、地域館については「図書館機能全域サービスが担保できるように、地域にある身近な施設と連携し、柔軟な対応をしていく。施設のあり方については他の行政領域の機能とすり合わせも絡むため『公共施設の見直しと行動プログラム』の更新に中に、本計画の方向性を反映していく」としている。
懇談会で市民言及
その原案に対し、1月15日からインターネットや図書館等でパブリックコメントを募集すると同時に7図書館等で市民懇談会を実施。1月30日にひじり館で行われた市民懇談会には募集人数を超えるほどの人たちが会場を訪れ、多くの質問、意見が寄せられた。
「蔵書が身近で手に入らないという問題は利用者に利用方法を身につけてもらう必要もあるのでは」「図書館は蔵書が魅力。高齢者の居場所になれるようなところにしてほしい」といったソフト面に対するものが挙がる中、大半を占めたのが「地域館廃止」に関する事柄。市教育部の説明に対し、地域館廃止を前提とした3館集約の内容に疑問を呈する声も聞かれた。
「集約ありきの計画では」3月末までに取りまとめ
地域館廃止に関しては「読書サービスの充実を目標に掲げているのに、地域館を廃止するとサービスは低下するのでは」「3館集中ありきの計画で、現在の7館分散の中での振興計画になっていない」「本館を建設するという話だが、建設費や人件費、運営費の数字が出てこないのでイメージできない。そのうえで、地域館の廃止、補修等と比較すべき」「市内で各複合施設を含む地域館を残してほしいと4万5千の署名が集まっている。それをどう考えているのか」「4月までに計画を策定するのは無理がある。じっくり話し合って結論が出るまで計画を凍結すべき」といった声が挙がった。
「貴重な機会になった」
こうした市民の声を受けて、市教育部では「市民の方々の生の声をいただくことはこれまで少なかった。厳しいご意見も多かったがありがたく、貴重な機会になった。またそれだけ図書館への思いがあるということも分かった。いただいた意見を受け止め、教育委員会、市長部局に伝え、計画をまとめていきたい」と話している。今後、寄せられたパブリックコメントを反映し、今年3月までにまとめ、計画として策定していきたいという。
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