南多摩医療圏とは八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市をさし、その人口は142万人にのぼる。南多摩医療圏病院管理研究会は44の正会員(医療機関)と、47の賛助会員からなる。「病院間連携の一助けになれば」と会長の遠藤さんは研究会の位置づけをする。
利用者目線で改善
「かつてのように外来と入院だけではやっていけない」。診療報酬の引き下げ、患者数の減少等で経営上苦境に立たされている民間の病院は少なくないという。そんな中、自分たちのため、そして地域住民のために手を組み研鑽を積み重ねている医療機関の団体がある。
一般社団法人南多摩医療圏病院管理研究会(遠藤正樹会長)は、南多摩エリアの医療機関(病院)の事務管理者等による、地域医療を支える組織。もともとは八王子市内の病院の事務長の研究会として61年前にスタート。2014年に法人化した。
1980年代後半から社会保障制度を守るための「医療費削減」が叫ばれ、厚生行政は変わっていった。それに対応するため病院では「経営の継続性(継続的な経営)」が重要に。各機関の事務長らが経営における「戦略・戦術の参謀」としてその役割を担うようになった。
例えば受付の対応だけでその病院の印象は変わる。「利用者の立場になって改善していこう」。遠藤さんによると、そのような思考は20年ほど前から用いられるようになったそう。「それまでは現状維持でいいという考え。受動的だった」。今では「駐車場での守衛さんの対応から見直す」と体制を改める病院も。「待ち時間について言われることもあります。『待って当たり前』ではない。『お待ちいただく』という姿勢に改めないと」(遠藤さん)。経営の危機意識は、医療従事者としての心構えを変化させた。
補完しあい 地域に貢献
「お互いに補完しあっていかに地域に貢献できるか。皆で行動するほかに道は拓けない」と遠藤さんは研究会の意義を説明する。15年は6回の研修を開催。知識を深め合うとともに交流を重ね、それぞれの院の経営に反映させている。「南多摩エリアは中核病院が少なく、民間による中小の病院が多い。連携していかないと経営資源が分散する」。遠藤さんは力を込める。「『病院がつぶれない』という神話はもうないんです」。病院同士が手を組み、南多摩住民142万人の医療・介護・福祉を支えていく。
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