市立和田中学校(福田洋一校長)は今年6月から、生徒たちへの多様な学習機会の提供と学習意欲向上のために、「和田中未来塾」と題した取り組みを始めた。同校は、市内で唯一、文部科学省から「地域未来塾」の指定を受けており、始業までの朝の時間を利用して地域住民が英検に向けた教室を開く他、留学生と一緒に給食を食べながら実践的な英語を学ぶなど、全国的にも珍しいユニークな取り組みを進めている。
文部科学省が進める「地域未来塾」は、生徒たちの学習支援、学力の向上をめざし、大学生や教員OBをはじめとした地域住民の協力を得ながら、子どもたちの学習機会を設けることを目的とした事業だ。
多摩市内で今年度、唯一推進校として指定を受けている同校は、今年6月から「和田中未来塾」と題し、学校支援本部を中心に地域住民の協力を得て、学習習慣の確立、学力の定着を図ることを目指し、生徒自ら主体的に学び、多様なニーズに応えるための教室を開いている。
特徴的なのが「朝」と「昼」の時間を利用した取り組みだ。「朝プロジェクト」では、週に2回、始業前の午前7時30分から、希望者を対象に学習会を実施。英語検定の合格を目指したコース別学習となっており、希望する生徒が企業等で海外赴任を経験した英語に堪能な地域住民や地域支援本部のスタッフの指導を受けている。
「昼プロジェクト」では、給食と昼休みの時間に、地域支援本部の推薦を受けた中央大学に通う留学生と英語での交流を行う。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、より実践的、日常的に英語に触れることを目的としており、年間180回実施を予定しているという。
また、放課後の「パワーアップ教室」では、タブレットPC等を活用して、学校支援本部の推薦を受けた大学生ら学習支援員から国語・社会・数学・理科・英語の指導を受けている。
少しずつ効果
こうした取り組みは、他の地域では放課後や土曜日などに行われることが多く、朝や昼食の時間を使って取り組むのは全国的にも珍しいという。朝プロジェクトには毎回約50人が参加し、生徒たちからは「集中しやすい」「勉強がはかどる」といった声が挙がっており、また昼の留学生との交流では「先生たちと発音が違うので、単語の勉強になる」「苦手だけど、何となく会話できるようになった」「外国人に駅で話しかけられた時に対応できた」と生徒たちは感想を語る。一方で留学生のナタリーさんは「ゆっくりだけどちょっとずつ話せるようになってきている」と効果を話す。
福田校長は「自ら学ぼうとする生徒たちが徐々に増えており、少しずつ成果が出てきている。これも地域の皆さんの力があってこそ。これからも地域と一体となって子どもたちのニーズに応えていきたい」と話している。
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