多摩市は11月11日、今年度2回目の「多摩市総合教育会議」を開き、教育委員会から今年春に実施した「全国学力・学習状況調査」の結果概要の報告を受けた。それによると教科に関する調査では概ね良好な結果が出た一方で、生活習慣や学習環境に関する調査では「いじめはいけないことか」の質問に対する肯定的回答が全国平均よりも下回ったことを受けて、阿部裕行多摩市長をはじめ、教育委員で今後の取り組みについて話し合いが行われた。
「多摩市総合教育会議」は、昨年4月1日の法改正によって地方公共団体の長が総合教育会議を設けることが定められたことを受けて設置され、阿部市長と教育委員会が市の教育課題や目指す姿等を共有しながら、連携して効果的に教育行政を進めていくための様々な検討を進めている。
今年度2回目となった今回の「総合教育会議」では、今年4月に小学6年生と中学3年生を対象に実施された「全国学力・学習状況調査」の結果概要の報告と、来年度重点施策事項についての意見申し出が教育委員会から行われた。
教科は概ね良好
「全国学力・学習状況調査」は、生活習慣や学習環境に関する質問紙調査と教科に関する調査の2つが行われ、教科に関する調査は、主に「知識」に関する問題(国語A、算数・数学A)、主に「活用」に関する問題(国語B、算数・数学B)を実施。結果(表参照)は、全般的に概ね良好だったものの、「小学校・国語A」「中学校・数学A」の正答率が全国平均を上回るも東京都平均を下回る結果となった。市教委では「数値が高くても授業の指導の改善の余地はあるので、今後学校ごとに調査結果を分析し、子どもたちの指導に役立てていきたい。各学校に授業改善推進プランの提出を求めており、決まり次第ホームページで公開していきたい」と今後の取り組みについて話した。
また、生活習慣や学習環境に関する調査は85の項目を問う形で行われ、「地域社会への興味・関心」「課題追求型の学習活動」について肯定的な回答の割合が全国平均よりも高く、「ESD教育、総合的な学習と多摩市の特色ある取り組みの成果が表れているのでは」と報告された。その一方で、小学校では「やり遂げてうれしかったこと」、中学校では「自分にはよいところがあるか」の項目で肯定的回答が全国平均を下回り、また「いじめはいけないことか」の項目の肯定的回答が小中学校ともに全国平均を下回った。これらを課題としたうえで「道徳の授業の質的向上を図ると同時に、教科化に向けた取り組みや、現在進めている道徳授業パワーアッププロジェクトの実施校を増やしていきたい。いじめを正当化する理由はないこと、いじめられてよい人などはいないことの理解が徹底されるよう指導を進めていきたい」と今後に向けた取り組みを報告した。 
条例制定も検討重点施策も具申
これらの課題に対し、阿部市長をはじめ、清水哲也教育長、4人の教育委員は会議の場で「学校だけでなく、地域の中でも自己肯定感を高めていく取り組みを進めていく必要がある」「地域をあげて褒めること、志を持つことを働きかける」「良いところを探す習慣を」「いじめに対して否定的な回答を出した子どもの原因分析を」「学校でも隠すことなく対応していく」「市教委、教員がどういった姿勢で取り組むか」とそれぞれが意見を述べた。教育委員会では「いじめに対しては学校、家庭でのSNSのルールづくりや、いじめ問題に関わる条例制定に向けて準備を進めている」と今後の方向性について報告した。
また来年度の重点施策事項として「学校施設の計画的な施設整備の推進」「文化財収蔵のための旧北貝取小学校跡地施設の整備」「学校の教育過程における英語教育の推進」「特別な教育的支援を推進するためのピアティーチャーの配置」「永山公民館の設備改修」「図書館本館の再整備」の6点について、教育委員から意見申し出が行われ、阿部市長は「市長部局と協議して検討していきたい」と話した。
なお、同調査結果の概要は、市HPでも閲覧することが出来る。
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