「文化庁地域功労者」として表彰された 畔上 能力さん 八王子市在住 85歳
足元から新しい発見を
○…28年間にわたり、多摩市文化財保護審議会の委員として、地域の文化財の保護や活用などに尽力。地域文化の振興に貢献してきた功績が認められ、文化庁から表彰された。「なんでもらえたのか。もらった意味合いをゆっくりと考えたい」と笑顔で語る。自称「アマチュア植物研究家」。自然植物の観察・研究を独自に続け、数々の著書などを手掛けるほか、講演や講師など、その実績は枚挙にいとまがない。
○…植物との出会いは、子どもの頃。長野県出身の父親の影響だった。がむしゃらに働いていた父親が体調を崩し、自然観察を始めた。それについて回り、雑草摘み、キノコ採りに行った。1953年に高尾で日本植物友の会の第1回会合が開かれた。すぐに入会し植物学者の本田正次氏に師事。「足元から覚えていくと良い」。その教えを実践し、父親と家の周りの植物を覚えていった。
○…家の周りから始めたフィールドワーク。そのエリアは、多摩、東京へと広がり、全国、世界にまで広がった。これまで見てきた植物の数は万を超える。「いつも新しい発見がある。あとはきりがない。自然の解明の一部を行っていると思っている。それをやり続けてきただけ」と笑顔で活動の原動力を語る。
○…これまでの研究の成果、実績が評価され、アマチュアながら学会で論文を発表したこともある。「この世界で専門の先生が認めてくれた。それは嬉しかったですね」。学問は一人だと限度があると言い、継続して発展できるシステムづくりや、後に続く人を育てることを今後の目標に挙げる。「生きている限りは、地元、多摩、東京で植物を観察していきたい。そのためにも地球規模でみていかないと」。研究意欲は衰えず、これからも足元を見ながら歩き続ける。
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