多摩市は7月1日、「多摩市障がい者への差別をなくし共に安心して暮らすことのできるまちづくり条例」を施行した。不当な差別的取り扱いの禁止や、合理的配慮の提供、障害・障害者に対する理解促進、差別に関する相談体制の仕組みなどについての規定を設けた同条例。施行から1カ月が経過し、市は条例周知のためのリーフレットやパンフレットを作成。今後も周知、理解促進のための取り組みを行っていく予定だ。
市では、これまで障害当事者と様々な意見交換を行い、地域で共に安心して生活し、理解を促進するための取り組みを行ってきた。障害のある人もない人も暮らしやすいまちにしていくため、条例制定に向けて、2年前から障害者差別に関するアンケートをはじめ、ワークショップ、市民や庁内で検討委員会を重ねてきた。
今回施行された条例では、差別の定義、市や市民・事業者の責務、合理的配慮の提供、相談体制、共生社会の実現に向けた取り組みなどを規定した。市障害福祉課によると「障がいのある人の思いを前文に入れ、市民にも伝わりやすいような文章になっているのは多摩市の条例の中でも珍しい」と話す。
第2条の「差別の定義」では、「不当な差別的取扱いをすることと合理的配慮をしないこと」、第7条では「合理的な配慮の提供は行政・事業者ともに義務化」が明記されている。合理的配慮については14の場面(表参照)を規定し、街中にある段差や障害者を想定していない設備や条件など社会的な障壁(バリア)について、障害者から「こうしてほしい」などが伝えられた場合、話し合い、負担が重すぎない範囲で配慮することなどが挙げられている。
また同条例では、差別を行った側が市による助言・あっせんに正当な理由がなく従わない場合には、勧告・公表することができるようになった。助言やあっせんの内容、差別解消のために必要な取り組みについては「障がい者差別解消支援地域協議会」を設置し協議を行うとしている。
施行から1カ月が経過し、市では条例周知のためにポスターやリーフレットを作成。市内の商店会や公共施設で掲示、配布を行っている。知的障害者や子どもにも条例を知ってもらうために「条例わかりやすい版」の製作準備を進めており、今後、ワークショップや講演会を開くなどして、条例の周知、理解促進に努めていく意向だ。差別に関する相談は市障害福祉課で受け付けており、7月31日時点で1件の相談が寄せられ、市内事業者からポスター掲示の協力の申し出もあったという。
市障害福祉課では「市民の方々にどう理解してもらうか、障がいのある人がどう困っているのかなどを周知していくことが大事。条例施行を契機に、そうしたことに対する理解が広めていくことが広がってくれれば」と話している。
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