タウンレポート 震災がれきの受け入れ 全市的な議論も必要 大和市 「安全最優先で検討」
環境省が全国の都道府県と政令市に震災がれきの受け入れを要請するなか、「大和はどうするのか?」といった声が少なくない。そこで大和市をとりまく現状を取材した。
東日本大震災にともなう岩手、宮城、福島の震災がれきの総量を環境省が2253万トンと推計している。これは大和市が1年間で処理するごみと資源回収量の約300年分に相当する。
震災がれきは可燃物と不燃物、木くずに分けたうえで各県が処理しているが、岩手県で一般廃棄物の年間排出量の11年分、宮城では19年分にも及ぶ。がれきの一部は東京、青森、山形が受け入れを開始しているが、国の目指す広域処理体制の構築は道半ばにある。
国が広域処理を求めているがれきの総量は岩手・宮城両県分の401万トン。3月23日付で環境省が神奈川県に受け入れを求めたがれきは、岩手県大船渡市と陸前高田市などで排出された木くず12万1千トン。
神奈川県の現状
神奈川県では、昨年12月に黒岩祐治知事が震災がれきの受け入れ方針を表明。現在は横浜、川崎、相模原の政令3市と受け入れに向けた調整を進める一方で、国に対し、広域処理における安全基準や国の責任を明確にする特措法の制定を求めている。
県によると、広域処理で受け入れる予定のがれきは政令3市で焼却処理し、焼却灰は県最終処分場(横須賀市芦谷)に運び埋め立てる方針だが、地元住民の不安は払しょくできていない。
県は、受け入れるがれきの放射性物質濃度について「1キログラム当たり100ベクレル以下」、焼却灰は「8千ベクレル以下」としている。
本紙の取材に神奈川県は、現時点で政令市以外の自治体に受け入れを求める予定はないとしたが「広域処理は『広くみんなで』という趣旨。自治体への要請も検討している」とした。
大和市の現状
大和市には現在、年間約7万トンの廃棄物焼却能力があり、2008年度の年間焼却量6万トンで試算すると1万トンの余力がある。
市では昨年4月の国の調査に、放射性物質の汚染がないことを条件にがれき受け入れが可能と報告したが、10月には「放射性物質濃度の基準が不明確なため検討は困難」と回答した。
3月議会の一般質問では「災害廃棄物を積極的かつ早急に受け入れるべき」とした赤嶺太一市議の質問に「広域処理は必要」としたうえで「放射性物質の安全性について国民の理解が得られていない」と指摘。「放射能の影響のない災害廃棄物の処理について、市民の理解と協力が得られれば通常業務に影響のない範囲での協力は可能。すぐには難しいが今後、市民の安全を最優先に検討していきたいと考えている」とした。
がれきの受け入れについては、可否はともかく、大和市でも全市的な議論を始める必要があるのではないだろうか。
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