写真集「信濃の一本桜」を出版した写真紀行作家 大貫 茂さん 下鶴間在住 79歳
とにかく気長にね
○…県や市から天然記念物に指定されている桜が全国一多い、長野県で撮影した写真集『信濃の一本桜』が信濃毎日新聞社から出版された。昨年3月からわずか1カ月間で120カ所をまわり、知る人ぞ知る桜を撮影した。その中にソメイヨシノは1本もなく、樹齢4百年を超えるエドヒガンが中心。「時代を超えた桜がこんなにも息づく県はない。この本で信濃の魅力を知って足を運んでくれたらうれしい」と微笑む。
○…桜を撮り続けて40年。日本三大桜の一つ、福島県三春町の『滝桜』との出会いがきっかけだった。樹齢千年を越すしだれ桜に「神がかった凄みに圧倒された」という。以来、全国の隠れた名桜の発掘が人生の目標に。桜の開花時期は短い。1年かけて計画を練っても、天気に泣かされることも多い。「計画の半分もできれば上出来。残した分は来年の楽しみ。せっかちはいけない、とにかく気長にね」と笑う。
○…横浜市出身。出版社「山と渓谷社」の元編集者。当初は経理として入社したが、山々を飛び回る編集部員の姿に惹かれ、「自分も編集をやらせてくれ」と社長に直談判。偶然に欠員が出た登山入門の月刊誌「ハイカー」の編集長に抜擢された。「実際には2人きりの編集室。5歳年下の部下に仕事のイロハを教わった」と苦笑い。山草を載せるにも、万葉集に出てくる草花を特集するなど独自の切り口。写真の技術も独学で身につけた。38歳でフリーランスに転向した。「他の人と同じでは面白くない」が信条だという。
○…結婚を機に大和市へ。2人の子どもはすでに独立し、妻と気軽な二人暮らし。「これだけやりたいほうだいで、文句がないのはありがたい」と顔をほころばせる。次の目標は、全国各地に残る伝説を一冊の本にまとめることだ。「市内にも伝承が多くあると聞く。まずは地元から」と、今日もカメラ片手に情報収集に繰り出す。
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