大和市文化芸術振興賞を受賞した華道家 井上 美佐さん(雅号・井上春陽(しゅんよう)) 南林間在住 94歳
今が一番 幸せよ
○…「この歳になって、こんな賞をもらえるなんて。私の送ってきた人生も悪くなかったわね」と茶目っ気たっぷりに笑う。昭和52年に大和華道協会の2代目会長に就任。平成元年までの会長在職中に、市役所ロビーや大和警察署などに生け花の展示を始め、花のある生活を提供し続けてきた。94歳の今でも、華道教室の講師として後進の育成にあたりながら、地域文化の発展にも尽力している。「生徒さんから、若さを吸い取っているから元気なのよ」とにっこり。
○…大正9年、横浜市保土ヶ谷区に生まれる。華道に出会ったのは、バレーボール選手として活躍していた横浜市立桜丘高校時代。「どうして好きになったのかは、覚えていないけど」と苦笑を浮かべる。しかし気付けば、地元の先生を探して本格的に華道を始めていたそうだ。結婚を機に南林間に移り住んだ昭和初期に免状を取得。子育てのかたわらに華道教室を開くと、最盛期には50人ほどの生徒さんが集まったという。「花や枝などの素材を活かして新しいものを生み出す。80年近く続けてきた今でも、華道は面白いですよ」
○…2人の子どもに恵まれ、現在は6人の孫と6人のひ孫のおばあちゃん。同居している2人のひ孫さんは、毎朝、仏壇と神棚に手を合わせてから幼稚園と小学校に出かけていくという。「その姿が可愛くて仕方がない」と目尻は下がりっぱなし。昨年に足を悪くしたものの今でも出歩くことが大好き。大和華道協会の相談役として、他市の展示などにも必ず足を運んでいる。
○…亡くなられたご主人の作った庭を、縁側に座って眺めるのが大切な時間。「あの木の枝を使ってどんな活け花を作ろうか、そんなことを考えていると幸せ」。創作意欲は、まだまだ衰えを知らない。「だって、動けるうちは動かないと、もったいないじゃない。1日1日を大切に過ごすこと、それが今の願いよ」。満面の笑みが浮かんだ
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