▽大和市議会の議事録をたどると、昭和から平成にかけて「文化会館」や「芸術文化ホール」の待望論が相次いでいたことが分かる。行政はその都度、「市民要望に応えるべく早期に建設したい」としてきたが、同時に用地や財源の確保、建設後の管理運営などの課題に直面してきた。
▽大和市内での芸文ホール待望論は今から40年前にさかのぼる。昭和48年に市内の篤志家が文化会館建設のために約6300万円を寄付。これを機に文化会館建設基金が創設された。平成23年度末の残高は5億7千万円でホール建設時には財源の一部となる。昭和61年にはホール建設を求める文化団体の陳情が全会一致で採択され、平成21年には建設を求める千人規模の集会も開かれた。
▽これらの経緯を踏まえれば、ホール建設が「市民の悲願」だとする声にも妥当性がある。しかし、この計画が単にホール建設にとどまらないことが、第4地区を巡る議論を複雑にしている。大木市長が標榜するこの計画は、【1】再開発事業の支援、【2】「老朽化した」とする図書館・生涯学習センターの更新、【3】子育て支援の中核施設 ─が一色単に盛り込まれている。中長期的に歳入減と歳出増が見込まれるなかであれもこれもとなれば、まずは各施設の必要性を精査し、その他の公共施設の老朽化対策もあわせて議論するのが筋目ではないか。
▽この計画の、事実上の可否を決める市議会臨時会は2月に開かれる。百数十億円ともいわれる総事業費や施設の維持費、図書館と生涯学習センターの跡地利用、さらには財政計画など、臨時会を招集する前に広く市民にも知らせるべき要素はまだある。さらに、市が多額の税金を投じる以上、再開発ビルを施工する組合からもビジョンなどを聴いておく必要もあるだろう。
▽これらを踏まえれば、たった1日の臨時会で事業の可否を決定するやりかたには警鐘を鳴らさざるを得ない。将来の大和市民に疑義を残さないためにも、第4地区の計画を集中審査する予算特別委員会を設け、計画されている各施設が市民生活の向上にどう寄与するかを検証し、それぞれの施設の必要性を決めるべきではないだろうか。
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