『地域の理容師』が団結 自殺防止対策に貢献
自殺者が陥りやすい考え方なども学んだ
大和市・綾瀬市の理容業者１０３人が加盟する神奈川県理容生活衛生同業組合大和支部（石井孝行支部長）が12日、イコーザ内多目的ホールで自殺予防に携わる「ゲートキーパー」の講習を行った。
「ゲートキーパー」とは、悩んでいる人に気づいて声をかけ、話を聞き、必要な支援につなげ、見守る人のこと。理容師という職業が顧客と１時間近くふれあい、表情や気持ちの変化を感じられることから、昨年６月に全国理容連合会（東京都渋谷区・大森利夫理事長）が「ゲートキーパー宣言」を行い、全国に活動が広がっている。
気づきが大切
今回の講習会には大和市・綾瀬市の理容師80人が参加。大和市保健福祉事務所の専門福祉士・中澤陽子氏による講演「カットをしながら、気づく・聴く・つなぐ」に、真剣に耳を傾けた。
講演では、自殺の原因や自殺を考えている人が出すサインなどを学習。ストレスの要因や、一般的には良いことに思える結婚や新築、昇進などもストレスになりうることなどを学んだ。
中澤氏は「皆さんは話を聞く機会の多い人。日常の仕事の延長として、無理なく出来る範囲で話を聞いてあげることが、自殺の予防につながる」と訴えた。
南林間から参加した本間信夫さんは「常連さんの顔も家族構成も覚えている私たちだからこそ、気づけることもあると思う。話や悩みを聞くと共に、必要があれば関係機関につなぐことを考えたい」と話していた。
意識を持って
神奈川県理容衛生生活同業組合大和支部には、大和市・綾瀬市の理容師の約６割が加盟。衛生面や技術の向上を目指し、活動している。加盟者の平均年齢は約60歳だという。
平成23年の警察統計によると、神奈川県内の自殺者のうち約７割が男性で、年齢別に見ても30代から60代が７割以上を占めていることから、石井支部長は「理容室のお客さんにも、自殺を考えている人がいるかもしれない。地域に根差した理容室だからできる、親身な対応を心がけたい。それぞれの理容師が意識を持つことで、自殺予防に貢献できると思う」と話している。
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