▼大和市議会の議会基本条例づくりが節目を迎えている。練り上げた素案を示して市民から意見を聴き、早ければ12月議会での議決を目指している。条例の前文には「時代に即応した議会運営の刷新」「市民の負託に的確に答える」など力強い言葉も並ぶが、結論を急ぐあまり、議論すべき理念よりも、個別の方法論が焦点化してしまった感が否めない。
▼議会基本条例は2006年に北海道栗山町で初めて制定された。これまでに全国400以上の自治体に波及し、県内では川崎、横須賀、藤沢、茅ヶ崎、秦野、小田原の6市が施行している。積極的な情報公開や市民参加を念頭におき、自治体議会がそれぞれの発想で、あるべき議会像、議員像を標榜している。
▼大和市議会では会派を代表する10人の議員で協議会をつくり、昨年2月から30回に及ぶ会議を積み重ねてきた。会議は全会一致が原則で、条文案を決定するには全員の賛成が必要となる仕組みだ。そのため主張が対立する場面では妥協点を探ることを余儀なくされた。12日の協議会では、長い時間をかけて編み出した折衷案に対し、納得できない一部の会派が主張を曲げず、条文そのものが削除となる一幕もあった。「努力を踏みにじった」「この反対で条文が削除された」と語気を荒げる議員もいたが、議員同士の膝詰の議論は見ごたえがあった。
▼そもそも地方議会には首長が定例会に提案する条例案や予算案などを議決する意思決定の権限があり、議員には議案審査と表決の役割がある。ほかにも市民が傍聴できる本会議場での行政チェックや、条例の提案もできる。近ごろの大和市議はこうした議員の本分よりも、局地的な陳情や要望を本会議場で訴えることが流行のようだが果たしてそれで良いのだろうか。
▼議会基本条例は議員の役割や議会運営のあるべき姿を議会が自ら明確にして、自治体の条例とするものだ。これを指針に情報公開と市民参加を進めることで主体性のある議会となる。地方分権にはそうした議会が不可欠になる。「12月制定」が既定路線のようだが、聴き集める市民の声に耳を傾けることで、大和らしい条例になるはずだ。
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