ぎゃらりー二桜舎で5日から書展を開く 安冨 直子さん 西鶴間在住 69歳
心の風景、墨で表現
○…心の中から湧きだすものを、墨を使って表現する「前衛書」の作家。読ませるのではなく感じてもらう―、そんな先鋭的な作品を飾る個展を、中央林間のギャラリー「二桜舎」で、5日から10日まで開く。個展を開くのは13年ぶり。カルチャースクールで指導するかたわら、書き溜めてきた22点を飾る予定だ。「何が書いてあるかを読み解くのではなく、観て何かを感じてほしい。字ではなく、アートのひとつだと思ってもらえれば」
○…27年前に父が病気で他界。そのショックで母親も体調を崩し、看病に追われるように。外出の機会も減り「人と話すこともなく、気持ちが滅入っていた」と振り返る。そんな時、ふと頭をよぎったのが、字の上手な父の影響で始めた書道。入会したスクールで、数十年ぶりに触れた筆の手ざわり。「新鮮な喜びがあった」と笑う。当初は楷書を学んでいたが、先生の勧めで大字書に挑戦。そこから前衛書に興味を移し、カナダの展覧会ではパンフレットの表紙に採用される評価を受けた。「以来、調子に乗って書き続けています」
○…2週間に1回、藤沢市の朝日カルチャーセンターと、大和市勤労福祉会館で書道講師を務める。息抜きは、大好きな時代小説を読むこと。そして、美術館や展覧会を巡ること。書はもちろんだが、絵画や仏像、陶芸などからもインスピレーションを受けることは多いそうだ。「幸いなことに身体は元気そのもの。ただ体力の衰えが問題ですね」。柔和な顔に苦笑が浮かぶ。
○…長年にわたり書道を続けてきて、いまだに満足のいく作品は書けていない。「一度でいいから、その幸福感を味わってみたい」と笑う。特に前衛書は、見本を真似る臨書とは違い、正解がない。だからこそ難しくもあり、面白くもあるそうだ。「ひとつの作品を書き上げても、次はもっと上手く書けると思う。つまづいては進んでの繰り返し、それが楽しいです」
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