いじめに関する講演活動を続けている 織戸 郁子さん 下和田在住 59歳
話を聞くことが天職
○…2011年から12年にかけて世間で注目を集めた滋賀県大津市のいじめ自殺報道。その報道に心を痛め、自身の体験を綴った新聞への投稿が大きな反響を呼んだ。出版社からも反応があり、2年間で2冊の本を執筆。神奈川県を中心に講演の依頼も後を絶たない。「いじめた方が100%悪い。だから負けないで」。
○…生まれつき両手の指が1本ずつしかない。足の指も欠損している。最初に受けたいじめの記憶は3歳頃から。「手なし」とからかわれ、石を投げられたことも。ただ、幼心にも「母さんを悲しませたくない」と家では明るくふるまっていたという。ある時、隣家のおばさんにかけられた言葉が人生を変えた。「悪口を言う人が、あなたの悪い所をみんな持っていってくれるのよ」。その言葉を信じて、いじめられるたび、『ありがとう』と返した。「自分を変えたい」、その一心であいさつもはじめた。気付けば、まわりに友だちがたくさんできていた。
○…「小さな悩みにも真剣に耳を傾ける」。そんな人柄から、障がいなどで困っている人と行政を結ぶ相談員を10年以上にわたり引き受けてきた。相談は深夜に及ぶ事も多いが、苦労と思うことはない。「人の話を聞いてあげることが、 天から授かった使命なのかもしれない」。一番の理解者は7歳年上のご主人。「何も言わなくても”あ・うん”の呼吸で助けてくれる」と優しい笑顔。趣味の料理は「とにかく彩りを」と20種類以上の皿が並ぶ。舌鼓を打ちながらの二人の晩酌が何よりの楽しみだとか。
○…「幸いに私には子どもがいないから親としてではなく、子どもの立場から子どもの話を聞くことができるの」。常に、同じ痛みを持つ仲間として講演の檀上に立っているという。自身の悲しい話をするときでも、安心させるように笑みが消えることはない。「大丈夫、ひとりじゃない。味方は絶対現れる。それを伝え続けたい」と微笑んだ。
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