包丁研ぎのボランティアをする 近藤 小弥太さん 西鶴間在住 89歳
百歳までは現役で
○…「捨てるなんてもったいない。真心込めれば、まだまだ光る」。月に1回、高座渋谷西口周辺で開かれている「てしごと市」に、昨年2月から包丁研ぎのボランティアとして参加している。手仕事で仕上げる昔ながらのスタイルは現代では珍しく、出刃包丁や裁ちばさみなどを持ち込む人も多いという。現在では、預かり品が出るほどの人気者に。「刃物は一生もの。喜んでもらうことが一番」
〇…包丁研ぎは10年前、定年後に再就職した新宿の障がい者就労支援のリサイクルセンターで覚えた。担当は経理だったが、靴や傘の修理を手伝ううちに、ピンと来たのが包丁研ぎだったという。「やるなら完璧じゃないと意味がない」と工具も自前で揃えるほどの熱中ぶり。退職後は大和市のボランティアとして登録し、活動の場を地元に移した。「てしごと市」のイベントを聞きつけ、「僕の出番だ」と飛び込んだ。
〇…新潟県出身。200年続く味噌と醤油の醸造を営む家に三男として生まれた。運動神経抜群で、中学では剣道部で活躍したが、時代は第2次世界大戦。19歳で徴兵され、浜松の航空隊に整備兵として配属された。「飛行機を狙った爆撃に何度も死を覚悟した」。20歳の時に終戦を迎え、大学進学のために上京。卒業後は都庁に入庁し、保健所などの事務方を定年まで勤め上げた。さらに「人の役に立ちたい。学び続けたい」と福祉の専門学校の門を叩いた。
〇…座間の施設に週3回ボランティアとして通い、障がい者のためのレクリエーションワーカーとして卓球や陶芸を指導する日々。最近始めた尺八も「琴といつか共演してみたい」と独学で練習に励んでいるという。15年前に妻が他界し、現在は息子さんと二人暮らし。「料理番組はつい見ちゃう」と2人で一緒に台所に立ち、手料理を楽しんでいる。「体力があるうちが華。100歳までは現役が目標です」と目を輝かせた。
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