2018年の幕開けにあたり、本紙では大木哲大和市長にインタビューを実施。昨年を振り返るとともに、新年の抱負を語ってもらった。
――あけましておめでとうございます。昨年・2017年は、大和市にとってどんな1年でしたか。
「本市の政策が高く評価された1年でした。他市からの視察も急増し、例年であれば多くても60件程度のところ、文化創造拠点シリウスだけでも約200件の視察がありました。シリウスが来館者数300万人というとてつもなく大きな成果を上げることができたということ、あるいは、認知症施策でも、全国のトップランナーといえるような施策を打ち出せた。他にも、かなり他の自治体の先に出るようなさまざまな政策を打ち出すことができたということで。その中の一つの象徴的な存在としてシリウスがあるということですね」
――シリウスの年間300万人来場は予想していましたか。
「1年で200万人が訪れる図書館もこれまで日本に無かった訳ですから、300万人というのは全く予想していませんでした」
――何がそこまで人を呼んだと思われますか。
「やはり市民の皆さんが求めていたものを提供できた、ということに尽きるのではないでしょうか。皆さんから『良かったよ』『作ってくれてありがとう』と言われることが多いですね。人口23万5千人のまちに、年間300万人が訪れる施設ができたというのはすごいこと。市民の皆さんにも誇りに思っていただける施設になったのではないかと思います」
――経済効果についてはいかがですか。
「駅周辺の個々の店舗ではお客さんが増えていることはあると思います。これだけの人が訪れる施設が誕生したわけですから、活性化してほしい思いはありますね」
――2年目を迎えて課題などはありますか。
「300万人が訪れるということは、その分設備に負荷がかかりますから、いつまでも快適に利用いただくために、メンテナンスをしっかりしなくてはいけないでしょうね」
――一昨年9月に『認知症1万人時代に備えるまちやまと』の宣言から1年が過ぎました。その後、認知症の方や家族のための施策を数多く打ってこられましが、こちらの手応えはいかがですか。
「テレビや新聞など、マスメディアの反響がとても大きいと感じました。全国に先駆け、大きな政策提言をしたと言えるのではないでしょうか。この認知症という非常に大きな問題について、待ちの姿勢ではなく、積極的に取り組んだことが、マスメディアに取り上げられた要因ではないでしょうか」
激変の時代、半歩でも前へ
――施策のアイデアはどのようなところから生まれるのですか。
「アイデアのヒントは色々なところにありますが、一番は、時代の流れの中で、世の中に何が必要であるかをいかに的確にとらえるかだと思います。そして、いかに速やかに時代に合ったさまざまな施策を打ち出していくかです。急速に進む少子高齢化、空家問題等々。世の中が激変している時代です。もう立ち止まっていられる時代ではないということですね。
例えば、認知症の家族が徘徊中、万が一踏切などで事故にあい、第三者に損害を与えてしまった時に、最高で3億円の損害賠償金が出る保険に市が加入した件もそうです。実際にそのような事故で賠償金を請求され、裁判になった事例があります。踏切が32カ所と多い大和市内で生活する場合、そういった危険性をはらむわけですから、市がどうにかしてあげられないか、と考える訳です。保険加入自体はそれほど予算が必要なわけではありませんから。
小学5年生から中学3年生を対象とした自転車保険も同様の発想です。大和市は県内でも有数の平らなまち、坂道の少ないまちですから、必然的に自転車の利用が多くなります。利用量が増えれば、当然リスクも高くなりますから、そこに手を打つわけです。行政にも限界はありますが、努力していきたいと思っています」
――待機児童問題も昨年4月、「2年連続ゼロ」を達成しました。
「とにかく待機児童で困っている保護者の立場に立って、財政的にも積極的に力を入れ、定員、施設を増やそうと頑張ってきました。対策として定員を4年前と比べて2倍(1700人→3455人)に、施設を3倍(18施設→54施設)に増やしました。ただ待機児童は、前年ゼロだからと言って、次の年もゼロになる保証はありません。大和市の場合、新しく保育所を作る土地や場所は多くありません。そこが今後の大きな課題と言えると思います」
――2018年は、どんな年にしたいと思っていますか。
「2017年と同様、半歩でも前に進んで、少しでも市民の皆さんが『大和市に住んでいてよかった』と言っていただけるような、他市の方が『大和市の人っていいね』と羨ましがられるような、そんな市に向かって進む1年にしたいなと思います。それには目の前の事を一生懸命やっていくだけだと思います。政策は時代とのキャッチボールだと言えます。時代の危機感に対応できるよう、努めてまいります」
――どうもありがとうございました。
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