時計の針が午後3時を告げると、柔らかく流れる水の音ともに、カタコトと小気味良い軽やかな音色が、人通りのない静かな通りに流れ出した。
5月27日に朝市が行われた桜ヶ丘駅東口の銀座通りを大和方面に向かった通りの突き当り。山下一幸さん(63)宅の前庭で、プランターや庭木の合間を縫うように据え付けられた手作りのカッパの人形が、所狭しと、動きだした。その様子はさながらカッパの遊園地だ。
山下さんが家の前を飾りだしたのは、会社を定年退職した4年前から。最初は鉢植えやプランターの「味気なさを隠す」ため、模様を塗ったり、装飾をしたりしていた。
「動くものが欲しい」と、水車を作ったのが仕掛けの始まり。金魚やメダカの入った水槽からポンプで水をくみ上げ、回すと、今度は水車を動力に仕掛けを追加。川の生き物が多い仕掛けの主人公には「インパクトがある」とカッパが選ばれた。
仕掛けはすべて山下さんの手作り。プラスチック製の水車に水が流れ落ちると、釣竿を曳いたり、梯子を上ったり、楽器を演奏したりと、あちこちでカッパが動き出す。カッパの材料は雨にも強い発泡スチロール製だ。
水路以外の仕掛けはすべて取り外し可能で、風雨の日には家の中に避難。ただそれでもあちこち故障が出る。「午前中はほぼメンテナンスに費やされます」(山下さん)。
仕掛けはタイマーでセットされ、今の時期は毎日午後3時から6時の3時間、家前を通る人々を楽しませている。今後夏場は午後4時から、冬場は午後2時からと動く時間も変わっていく。実は、山下さんの作品をみた見知らぬファンが、推薦し、今年度、大和市の街づくり賞を受賞している。取材中も、帰宅途中の園児が釘づけになっていた。
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