平成最後となる新年の幕開けにあたり、本紙では大木哲大和市長にインタビューを実施。昨年を振り返るとともに、新年の抱負を語ってもらった。
―あけましておめでとうございます。2018年はどんな1年でしたか。
「大和市が目標に掲げる健康都市の実現に向けてさらに前進した1年だったと思います。4月11日の「70歳代を高齢者と言わない都市 やまと」宣言は、国内はもちろん、海外でも取り上げられるなど注目を集めました。またおひとり様などの終活支援事業、ご遺族支援コーナーなど主に年配の方を支援する施策にも積極的に取り組みました。
子育て支援施策では、3年連続で4月1日時点での待機児童ゼロを達成。保護者の安否確認メールと市内の全保育施設などにベビーセンサーを配付する2つの『赤ちゃんまもるくん』を実施。保育施設にベビーセンサーを配付した『赤ちゃんまもるくん2』には、実際に東京都内の保育施設で赤ちゃんが窒息死する事故が発生したときに、大和市の取り組みについて取材があり、テレビの公共放送で放映されました。
また昨年は市内に新たな拠点が誕生した年でもありました。
4月1日には、中央林間東急スクエア内に中央林間図書館と子育て支援施設がオープン。同館は約760平方メートルと中学校の体育館より少し広いくらいにも関わらず、年間来館者数は東京の日比谷図書館よりも多くなりそうな勢いです。1平方メートル当たりでみると日本で一番人が集まる図書館ではないでしょうか。同じフロアに完成した子育て支援施設「きらきらぼし」の一時預かり事業は、市内で一番多く利用されています。同じ4月1日には旧図書館が市民活動拠点ベテルギウスとして生まれ変わりました。シリウスが市民の居場所とすれば、『部室』を備えたベテルギウスは団体の居場所です。
図書館の魅力、全国に発信
8月1日には中央林間に市民交流拠点ポラリスがオープンしました。ポラリスは、境目の少ない広いスペースが特徴で、空間を自由に使ってもらうことができます。
他には、ブロック塀等の無料診断及び撤去費用などの補助、消防ドローン隊の発足、市内全駅に図書返却ポストの設置完了、振り込め詐欺対策として録音機能付き電話機などの購入費補助、「図書館の道」での縁台将棋や古本まつり、駐輪場シェアサービスの開始、匿名のいじめ相談アプリ導入などがありました」
―来館者が増加し続けるシリウスの魅力とは。
「一つ挙げるとすれば、居心地の良さだと思います。新しい施設ができれば、その時は人が集まってきますが、一過性で終わるのが普通です。リピーターが非常に多く、滞在時間も長いのは、居場所としてリラックスできるからなのだと思います。世界中の図書館を見てきた外交官のかたが、シリウスより豪華な図書館はあるが、リラックスできる図書館はない、とおっしゃっていました。1年目以上の来館者が訪れたことで、それが証明されたのではないでしょうか。
もちろん、図書館とはこうあるべきという既成概念のマイナスの面に目を向け、どうしたら来てもらえるかを想定した仕掛けが、ニーズと合致したことはあると思います。例えば、壁面書架を可能な限り廃し、カウンターテーブルを置いたり、有料席や小さなお子さん連れの保護者のかたが本を選びやすくするため一時預かりの場所を設けたりといったこともそうです。他自治体等からの視察件数も400件を超えています。
昨年11月22日に福井新聞にシリウスが大きく取り上げられました。福井県は読書が盛んな県なので、興味深く読まれたことと思います。福井県民の中には、神奈川県大和市を知らない人も多いはず。物理的に遠い都市のかたに大和市の存在を知ってもらえたのは大変嬉しいことです。
シリウスは建物全体が図書館というコンセプトなので、『あれだけ大きい図書館だから、人が集まって当然』という人もいます。それに対して中央林間図書館は、小さいにも関わらず、日本を代表する日比谷図書館よりも年間の来館者数は多くなりそうです。昨年10月31日に開催された図書館総合展での中央林間図書館をテーマにしたフォーラムでは、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。小さな図書館ならばどの町でもできます。なので、どうしたら人を集めることができるのか、ということに興味を持ってもらえたのだと思います」
―新しくできる防災に特化した公園について教えてください。
「南林間地区に整備中の公園は、普段は公園として利用いただけますが、防災に特化しており、ぜひ多くの市民のかたに見に来てほしいです。専用の大型防災倉庫を備え、大和市の風向きを意識し、災害時に大火にならないよう、防火地として北と南に御土居(土塁)を設けます。地下には雨水調整池が整備されています。また全国的に見ても数多くのスタンドパイプが設置される公園といえます」
――新しい総合計画はどのような内容ですか。
「現行の総合計画では『健康創造都市やまと』を目指し、『人・まち・社会』の健康の推進を柱にしています。来年度から10年間にわたる新しい総合計画では、今まで以上に『健康』を市民の皆様が求める時代に入ると思いますので、そのような内容になっています」
―3期目の4年間で印象的な出来事は。
「象徴的だったのは、2016年にWHO(世界保健機関)の第9回ヘルスプロモーション国際会議で、大和市が健康に力を入れている都市として選ばれ、発表の機会を得たことです。健康都市を目指す大和市の象徴的な施策をWHOが評価してくれたことは、とてもインパクトがあり、この4年間の大和市の施策に対する表彰状だと思っています」
―2019年の抱負を。
「2019年に限らず、行政運営は戦略的思考に基づき、先を見据えて行わなくてはなりません。ただ居場所というキーワードはこれからも重要だと思います」
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